資格確認書「後期高齢者だけ申請不要で全員に送付」厚労省対応巡り衆・厚労委員会で審議 

厚労省が1年間限定で後期高齢者全員に資格確認書を交付する措置を決めたことについて、立憲民主党の柚木道義議員は、マイナ保険証の利用率が上がり、トラブルが増加する中、市町村窓口の混乱や事務負担を回避するために国保加入者全員に資格確認書を交付することを検討すべきと大臣に要望しました。

 

福岡資麿厚労大臣は後期高齢者全員に対して、マイナ保険証の有無に関わらず、26年7月までの1年間は申請なしで資格確認書を交付することとした理由として以下の2点を挙げました。

〇マイナ保険証の利用率が相対的に低い

〇発行済み保険証は今年7月末に一斉に有効期限を迎え、資格確認書の交付を求める方からの申請が市町村の窓口に集中する恐れがある

厚労省のヒアリングに対して、主だった後期高齢者医療広域連合から、今年7月末の年次更新の直前に後期高齢者の方々から資格確認書の交付申請が市町村の窓口に集中する恐れがあるので資格確認書を後期高齢者全員に交付して欲しいとの意見が出されたことを踏まえての対応です。

事務連絡令和7年4月3日厚労省保険局高齢者医療課「後期高齢者に係る資格確認書の暫定運用の継続について」

全交付の方が市町村の負担減る

柚木道義議員は、▽全体の利用率は平均で26%と低く、高い年齢層でも3割程度と高いとは言えない▽事務負担や混乱が生じる各市町村の意見を聞くべきで全交付した方がむしろ負担は軽減される▽前期高齢者からの資格確認書の申請で市町村窓口に集中するため前期高齢者にも全交付すべきと指摘し、厚労省に検討を要望しました。

それに対して、福岡厚労大臣は、▽65歳から74歳の前期高齢者は利用率が相対的に高いので後期高齢者と同様の対応は行わない▽65歳から74歳までの被保険者を抽出して区別する作業は市町村の事務負担が生じるとの理由で全交付することは考えていないと答弁しました。

その上で、「国民健康保険において、発行済みの健康保険証の有効期限を一斉に迎えるタイミングで、マイナ保険証での受診が困難な方からの資格確認書の交付申請が市町村窓口に集中することを避けるために、前もって申請の周知を行っていただくなど、市町村に促してまいりたい」と対応を示しました。

なお、厚労省HPでは、マイナンバーカードでの受診等が困難な配慮が必要な方(ご高齢の方、障害をお持ちの方など)であって、資格確認書の交付を申請した方はマイナ保険証と資格確認書の二枚持ちが可能としています。この取り扱いは各市町村へ申請が必要で更新時の申請は不要とされています。当該取り扱いについて、近日中に厚労省保険局国保課から各市町村等に対して、申請すれば二枚持ちが可能となる取り扱いについて、事前受付が可能となるよう事務通知が発出される予定です。

参考

資格確認書について(マイナ保険証を使わない場合の受診方法)|厚生労働省

チラシ

「従来の保険証を一律に発行」は否定

柚木議員がマイナ免許証と同様にマイナ保険証と健康保険証の二枚持ちを可能とするように措置すべきと質問しました。

福岡厚労大臣は、「必要な方に限って資格確認書を発行するのではなく、従来の保険証を一律に発行し続けるという提案は、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行を妨げるものだし、コストの問題もある。保険証発行事務コストの観点からも望ましくない」と否定しました。

4月9日 衆議院厚生労働委員会 資格確認書の全交付に関する審議

柚木道義 立憲民主党

マイナ保険証の2025年問題への対応として、マイナ保険証に代わる資格確認書を普及が進んでいないから75歳以上全員交付となった。4月3日の医療保険部会で決定された。利用率が増えて実は医療機関の窓口で全額自己負担問題が減るどころか増えている。

読み込みエラーの時にこれまでの紙の保険証がお守りになっている。

私も提案をしていたことで、この75歳以上の後期高齢者の方々、普及も進んでないしそして当然いわゆるITスキルもね、若い世代に比べて高くないということで、マイナ保険証の2025年問題というのは意外に知られてない。

マイナンバーカードの更新が10年、電子証明書の更新が5年だが、今後3年間で更新時期が重なってくる。毎年2000万人ぐらいの方々が期限切れリスクを抱えている。それを防ぐために、少なくともちょっと75歳以上の後期高齢の方にはマイナ保険証を持っている人も持ってない人も全員送付してほしいと私が提案したが、4月3日の医療保険部会でその方向になった。

全国の後期高齢者2000万人に資格確認書1年のみ全員交付は、いつ頃発送する予定か、また今回と同じように保険証の有効期限切れのタイミングで資格確認証の交付を求めて市町村の窓口が混乱する。これから3年ぐらいは2000万人ぐらいの方が期限切れリスクがあるわけで、混乱回避のために来年も、資格確認書くださいと窓口混乱することは容易に想像がつく。混乱の可能性がある場合は来年も少なくとも75歳以上全員に資格確認書を交付する可能性があるのか。75歳以上全交付の決定に際しては、これ広域連合の話を聞いたようだが、現場で窓口対応している市町村からの意見聴取を行ったのか。

 

福岡資麿 厚生労働大臣

現場の混乱をなくしていくことは大変重要な観点だ。そういう意味では後期高齢者の方々についてはマイナ保険証の利用率が相対的に低いこと、発行済み保険証は今年7月末に一斉に有効期限を迎えるため、資格確認書の交付を求める方からの申請が市町村の窓口に集中する恐れがあることから、来年の7月まではマイナ保険証の有無に関わらず、申請なしで資格確認書を交付することとした。後期高齢者の方々への資格確認書の発送時期は、自治体によって異なるが、一般的に今年の7月頃を予定している。また来年夏のタイミングで資格確認書の申請が窓口に集中することがないよう、引き続きマイナ保険証のメリットやマイナンバーカードの安全性について周知・広報を行うことで利用促進等に取り組んでいきたい。来年8月以降については、現時点では申し上げることは差し控えるが、今後とも利用状況などをしっかり注視したい。

決定に当たり全国の市町村に対する意見聴取は行っていないが、主だった後期高齢者医療広域連合からご意見を聞いた。その際、今年7月末の年次更新の直前に後期高齢者の方々から資格確認書の交付申請が市町村の窓口に集中する恐れがあるといった理由から、資格確認書の職権交付の継続を求める意見が寄せられた。

こうした意見も参考にしながら、後期高齢者のマイナ保険証の利用率が相対的に低い状況にある中で、今年7月末に一斉に保険証の有効期限を迎えることを踏まえ、来年7月末のまでの間は、マイナ保険証の保有状況に関わらず申請なしで資格確認書を交付することとした。

 

立憲民主党 柚木道義

来年また全交付することを否定はしなかった。来年も同じこと起こる。マイナ保険証の期限切れ迫る1580万件とやっぱりこれマイナカードと電子証明書が10年、5年とまた更新時期がずれている問題もある。資格無効の多発が懸念される。保団連の事務局にもいろんな問い合わせ殺到していて、本当は行政の窓口がやることを医療現場とかこういう団体さんが対応する事態にもなっている。私達はだから保険証併用法案を出している。

有効期限切れが大幅に増加しており、これまでより倍増している。便利になるところかトラブルが増えている。マイナトラブルが9割の医療機関で発生し、一旦窓口で全額負担が1720件で前回より倍増している。全額自己負担とトラブル回避のための大きな手段となっているのがこれまでの健康保険証だ。78%が健康保険証でトラブルを回避している。12月に廃止したらどうなるのか。まさに25年度、26年度、27年度は各2000万件以上の方々が、マイナ保険証の更新切れリスクを抱えている。来年もひょっとしたら75歳、後期高齢者以上の方々これ全交付する可能性を否定しないということでよいか。

 

福岡資麿 厚生労働大臣

可能性について予断を持って申し上げられない。先ほども述べたように、まず来年夏までの間に多くの方々がマイナ保険証を利用していただける環境整備に努めるとともにその時点におけるその状況をしっかりと見た上で判断したい。

 

柚木道義 立憲民主党

否定はしなかったというのは、来年以降もこういう混乱が想定されることを前提に提案する。後期高齢者2000万には全交付することを決めたが、前期高齢者は全交付しないのかという議論に当然なってくる。

後期高齢者には全送付するが前期高齢者は全送付しないという積極的な理由が見当たらない。もっと言うと、前期高齢者の方々もこれ65歳から74歳、1500万人ぐらいだ。よりアクティブな一方で受診率とか疾患リスクはそれよりも若い現役世代よりも当然高まる。後期高齢者全員に資格確認書を送付してくれるのだったら、自分たちもくれと当然なる。窓口の混乱を回避するということで後期高齢者75歳以上に資格確認書を全交付することを決めたわけだから、前期高齢者にも、窓口混乱を回避するという意味においては全交付すべきだ。

前期高齢者1500万人にも、どうせ資格情報資格確認のお知らせと資格確認書、資格情報のお知らせ資格確認書どっちか送るから予算上は変わらない。どうせ郵送するのだから、そこに資格確認書入れればいいだけの話だ。前期高齢者にも全交付されたらどうか。

 

福岡資麿大臣 厚生労働大臣

 

75歳以上の後期高齢者は、マイナ保険証の利用率が他の年代と比較し、相対的に低いという状況も踏まえて、資格確認書を職権交付するという暫定運用を行うこととした。ご提案があった65歳から74歳までの方について、5歳ごとの年代別の利用率を見ると、65歳から69歳の方は5歳ごとの年代別で最も利用率が高い世代だ。70歳から74歳は65歳から69歳に次いで2番目に高いご利用率だ。この利用率が高い世代にまで同様の対応を行うことは考えていない。その上で国民健康保険において、発行済みの健康保険証の有効期限を一斉に迎えるタイミングで、マイナ保険証での受診が困難な方からの資格確認書の交付申請が市町村窓口に集中することを避けるために、前もって申請の周知を行っていただくなど、市町村に促してまいりたい。

 

柚木道義 立憲民主党

65歳から69歳の利用率が33%で高いと答弁されたが、高いと言っても33%だ。3人に1人しか使ってないのに高いと言えるのか。今の保険証を残してほしいというのが7割、8割だ。7割、8割がマイナ保険証を使うようになって初めて利用率が高いと言えるのではないか。国民平均の利用率が26%の利用率だが、3割はちょっと高い利用率を持ってその人たちには送らなくていいって全然積極的じゃない。むしろ前期高齢者の人たちに対して不公平、差別となりかねない。

後期高齢者医療広域連合の一部に話を聞いたようだが、全国の市町村の意見まだ聞いてない。私も一定程度聞くと、やっぱり市町村の窓口の方は、後期高齢者だけじゃなく前期高齢者も全交付した方が窓口の混乱回避には絶対プラスだと言っている。市町村現場の声をぜひ聞いていただきたい。前期高齢者についても、今回は全送付をするということを検討してほしい。

福岡資麿 厚生労働大臣

65歳から74歳までの方々にその市町村において国保の被保険者の中でその年齢に応じてこの方は職権交付する対象とする、この方はそうじゃないということを区別して対応することで事務負担が生じる。

いずれにしてもそのような現時点ではそのような対応を行うことは考えていないが、引き続き様々な方の意見はしっかり承ってまいりたい。

 

柚木道義 立憲民主党

逆だ。むしろ、マイナカード持っていてもこの人はマイナ保険証に紐付けているか否かの確認が大変な手間だ。紐づけ情報を確認して、資格情報のお知らせか資格確認書のどちらかを送るのだから、前期高齢者に資格確認書を全交付すれば、手間なくなってむしろ楽になる。2025年問題で、医療機関もこの間期限切れトラブルが最新の調査では、この前回の調査よりも20%ぐらいが医療機関で期限切れトラブルあったのが、30%と前回より1.5倍に増加している。「市町村窓口の混乱」、「医療機関窓口の混乱」、そして「治療費全額自己負担のリスク」、こういうものを回避する意味でも、前期高齢者と後期高齢者も全交付すると決めた方がむしろ現場の負担も減る。持ち帰って検討すると医療保険部会にかけるかどうかも検討してほしい。

 

福岡資麿 厚生労働大臣

いずれにしてもさまざまの方のご意見を伺いながら進めていきたい。

 

柚木道義 立憲民主党

マイナ免許証は二枚持ちが可能で本人が選択できる。これ私はとても妥当な対応を所管の警察庁は妥当な判断をされた。マイナカード持ち歩いたりして紛失したり落としてこれ犯罪にすぐ銀行口座作られたり、犯罪に使えるリスクもあって、とりあえず必要なときだけマイナカードを持ってそれ以外に置いといて、これまでの免許証を使っておこうとかね。警察だけにそういう犯罪リスクも考えてね、2枚持ち認められている。

マイナ保険証はトラブル・混乱が続いている。当面の間はマイナ保険証についてもマイナ保険証とこれまでの保険証の2枚持ちを併用できるようにするべきだ。

 

福岡資麿 厚生労働大臣

マイナ保険証は本人の健康・医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するメリットをしっかり理解いただけるように努めていきたい。何らかの事情で資格確認ができなかった場合でも、10割負担ではなく適切な割合で保険診療が受けられることを医療機関・国民に周知していくことの重要は認識している。必要な方に限って資格確認書を発行するのではなく、従来の保険証を一律に発行し続けるという委員のご提案につきましては、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行を妨げるものだし、コストの問題もある。保険証発行事務コストの観点からも望ましくない。

 

柚木道義 立憲民主党

今のような答弁であれば、今年の期限切れトラブルがどんどん発生し、むしろマイナ離れが加速してしまうと思う。そうならないためにも私達はこれまでの紙の保険証を12月に切らさずに併用期間を延長した方がいいと思いますけど、2枚持ち認めてね。

せめて、資格確認書を1年限定で前期高齢者以上に全発行で言いましたけど、1年と言わず3年ぐらいはそういうリスク続くわけですから3年ぐらい当面の間、資格確認証は前期高齢者以上に全交付すれば、事実上、マイナ保険証を持っている人の2枚持ちが可能になる。せめてその資格確認証の全交付についても、来年以降のトラブルの状況、普及率の状況を見て検討いただけないか。

 

福岡資麿 厚生労働大臣

 

委員の主張は受け止めた上で政府の考え方については述べた。今後しっかりマイナ保険証を利用していただくように周知するとともに、足元の現状、現場の混乱の状況も踏まえしっかりと把握をしながら適切な対応を行ってまいりたい。

柚木道義 立憲民主党

平デジタル担当大臣は、プロのドライバーさんなんかこれトラブルがあって失効しちゃったら運転できなくて違反になるからマイナ免許証を2枚持ちすべきだと言われている。マイナ保険証だって一緒じゃないか。読み取りエラーで窓口全国自己負担になっている。そうならないために二枚持ちを認めてあげる方がよっぽど親切じゃないか。ぜひ引き続きそういう検討をお願いしたい。