【要望書】百日咳から子どもたちを守るため、早急な対策の実施を求める要望書

2025年4月25日

厚生労働大臣 福岡 資麿 様

全国保険医団体連合会
地域医療対策部
医科部長 細部 千晴

百日咳から子どもたちを守るため、早急な対策の実施を求める要望書

国民医療の確保、感染対策の充実に向けた尽力に敬意を表します。

さて、今年になって百日咳の報告数が右肩上がりで増加を続け、4月7日から4月13日までの第15週で1,222人もの報告があり、累計感染者数は7,084人と、すでに昨年1年間の感染者数を3,000人も上回る状況です。

百日咳は感染力が非常に高く、激しい咳が続く細菌性の感染症で、特に生後6か月以下の乳児が感染すると重症化して死亡する場合もあります。2013年からの乳児の百日咳の死亡例は32例で、うち26例は妊娠中のワクチンを接種していませんでした。

しかし、成人は軽症ですむ場合が多いため、新生児や乳児、妊産婦への感染を引き起こす例が少なくありません。予防としてワクチンが有効ですが、予防効果は5年~10年程度とされています。

日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会が3月29日に発表した「百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について」では、①任意接種となる就学前や11-12歳の3種混合ワクチンの定期接種への追加や、②生後2か月での速やかな5種混合ワクチンの接種の検討が望まれるとし、また、③欧米諸国では妊娠後期の母親を含めた乳児に関わる全ての人への接種を推奨、④日本感染症学会は、医療関係者(特に産科病棟スタッフ、新生児・乳児をケアするスタッフ、妊娠中の母親や入院中の新生児・乳児と直接接触する医療関係者)へのワクチン接種を推奨していることが紹介されています。

また、日本産婦人科感染症学会では、「ワクチン未接種の月齢では母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が不十分だと早期に感染(中略)妊婦さんに対しては有益性投与(ワクチンが妊婦さんや赤ちゃんに与えるリスクよりも有益である場合の投与)になっており、今後の導入が期待される」としています。

WHOの発表では、世界の百日咳患者数は年間で1,600万人も発生しています。海外からの旅行客が急増する中で、百日咳から新生児・乳児等を守る緊急な対応が求められています。

こうしたことから、早急に次の対策をとられますよう、要望いたします。

 

1.日本において百日咳が大流行となっていることから、早急に母子免疫ワクチンであるDPTワクチンについてご検討をいただくなど、必要な対策をとってください。

2.日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会が3月29日に必要性を指摘した「就学前と2期DPTへの変更接種の定期化」を実施してください。

要望書[PDF:131KB]