有効期限切れ保険証で資格確認可能 厚労大臣「医療現場で柔軟に対応できるように示した」

期限切れ保険証、「資格情報のお知らせ」単独で受診可能 「資格が明らかな場合」に該当

保団連は7月1日の記者会見で、6月27日付厚労省事務連絡で案内した、健康保険証の有効期限切れに伴う「暫定的な対応」について質問しました。
福岡資麿厚労大臣は「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料」の内容を説明した上で、有効期限が切れた健康保険証と「資格情報のお知らせ」単体で被保険者番号等を用いて資格確認を行うことについては、「緊急やむを得ない事由によって資格確認ができない患者については、資格が明らかな場合はこの限りではない旨を規定をしているところであり、今回のの暫定的な対応はこれに該当するもの」「今回の事務連絡は、マイナ保険証への移行に伴い、気づかずに古い保険証を持ってきてしまう、資格確認書と勘違いして「資格情報の知らせ」を持ってきてしまうといったケースに、柔軟に対応できるように示したもの」と答弁しました。
厚労省は現在、関係団体に周知しており、大臣は「医療機関等の窓口において適切に運用がなされるよう、引き続きの対応を図ってまいりたい」と述べました。

マイナ保険証の有効期限切れには従来通りの対応を維持

被保険者番号等の資格情報は、有効期限が切れた保険証や「資格情報のお知らせ」の他に、マイナポータルの画面でも確認できます。この点について、福岡大臣は「被保険者番号等の情報の記載はあるが、このような方は手元にマイナンバーカードがあるため、そのカードを使って資格確認をしていただきたい」と述べ、従来通りの対応を医療現場に求めました。
現在、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限切れ時期の到来に伴い、マイナ保険証として使用できなくなったカードが医療機関に持ち込まれ、無効となるトラブルが発生しています。保団連はこうした状況への対応方法を質しましたが、福岡大臣は「3カ月を経過した場合は、再診の場合は患者さんに対して過去に受診した際の資格情報の口頭確認を行うことで、初診の場合は資格申立書を記載いただくことで、保険診療を受けられることとしている」「資格確認書は有効期限の3カ月経過前に送付する」など従来の対応方法の説明を繰り返しました。

4月以降もトラブル不可避 健康保険証の存続で抜本的な解決こそ

保団連は、医療現場のトラブル調査を示し、マイナ保険証の有効期限切れ(25年度は2800万件)への対応として、マイナ保険証の利用登録を行った方へも資格確認書を交付する対応などトラブルへの緊急対応を強く要望してきました。また、トラブルの一つとして、単体で利用できない「資格情報のお知らせ」のみを持参し、10割負担を強いられた事例なども示してきました。今般の事務通知は、こうした医療現場の混乱を回避するための緊急対応として出されたものです。
今後、マイナ保険証の有効期限切れが3年間で数千万件発生すると見込まれ、来年3月末までの対応では不十分です。健康保険証をこれからも使えるようにし、マイナ保険証と併用すれば解決する問題です。

7月1日厚労大臣記者会見

保団連:
6月27日に自治体国保に案内された「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料」の内容について伺います。
有効期限切れの健康保険証や単体の「資格情報のお知らせ」は法令上の資格確認方法ではないと認識していますが、これらを持参した患者の資格を被保険者番号等により確認する暫定的な対応は、医療現場での混乱を回避するための超法規的措置という理解でよいでしょうか。
また、マイナポータルの画面のみでも被保険者番号等を確認できるが同様の対応が可能でしょうか。有効期限切れのマイナ保険証が医療現場に持ち込まれていますが、これを持参した患者にはどのように対応すべきでしょうか。
この件について医療機関や患者への周知は考えていますでしょうか。

福岡大臣:
事務連絡につきましては、本年8月1日以降、多数の自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れにより順次執行していくことになりまして、当面はこの有効期限が切れた健康保険証だと気づかないまま、引き続き従来の保険証を持参されたり、また、健康保険証の切り替えに伴って通知されました「資格情報のお知らせ」のみを持参されたりして、医療機関等を受診する方がいらっしゃることも想定されますために、暫定的な対応としてお示しをしたものでございます。
保険医療機関等における患者さんの資格確認につきましては、療養担当規則等におきまして、マイナ保険証であったり、資格確認書等によって行うこととしておりますが、緊急やむを得ない事由によって資格確認ができない患者については、資格が明らかな場合はこの限りではない旨についても、規定をしているところでございまして、今回のこの暫定的な対応というのは、これに該当するものでございます。
今回の事務連絡につきましては、マイナ保険証の移行に伴い、気づかずに古い保険証を持ってきてしまう、資格確認書と勘違いして「資格情報の知らせ」を持ってきてしまうといったケースに、柔軟に対応できるように示したものでございます。ご指摘がございましたマイナポータルの画面には、被保険者番号等の情報の記載はございますが、このような方は手元にマイナンバーカードがございまして、そのカードを使って資格確認をしていただきたいと考えております。
また、あのマイナ保険証の電子証明書の有効期限につきましては、有効期限切れから3カ月の間は、引き続き資格確認ができる一方で、3カ月を経過した場合につきましては、最新の場合は患者さんに対して、過去に受診した際の資格情報の口頭確認を行うことで、またあの初診の方の場合は資格申立書を記載いただくことで、保険診療を受けられることとしております他、資格確認書についても、有効期限を3カ月を経過する前に送付されることとなっております。
今回の対応につきましては、事務連絡の発出にあわせて、関係団体に周知をしたところでございまして、保健医療機関等の窓口において適切に運用がなされるよう、引き続きの対応を図ってまいりたいと思います

NHK:
暫定的な対応ということですが、現状、期限はどの程度を設けられているでしょうか。また、設定される意図や趣旨、混乱を避けるといった趣旨があるのでしょうか。

厚労大臣:
6月27日付に発出いたしました事務連絡につきましては、本年8月1日以降、多数の自治体で国民健康保険の健康保険証が有効。期限切れにより順次、当面は有効期限が切れた保険証だと気づかないまま引き続き従来の保険証を持参されたり、健康保険証の切り替えに伴って出された「資格情報の知らせ」のみを持参されたりして、保険医療機関等を受診する方がいらっしゃることも想定されますため、暫定的な対応として被保険者番号等により、オンライン資格確認システムに資格情報を照会するなどした上で、患者さんに対して3割とも一定の負担を求めてレセプト請求を行うこととする運用も差し支えない旨をお示ししたものでございます。
この入力運用については来年の3月31日までを想定しています。