【要請書】新薬薬価を引き下げ、医療機関の物価高騰対策と医療従事者の賃上げを

内閣総理大臣 石破 茂 様

財務大臣   加藤勝信 様

厚生労働大臣 福岡資麿 様

 

全国保険医団体連合会 社保審査対策部・医科部長 武田浩一

社保審査対策部・歯科部長 新井良一

新薬薬価を透明化・引き下げし、医療機関の物価高騰・賃上げ対策等を支える薬価改定等を求める要請書

現在、2026年度予算編成に向けて、薬価に関する議論も開始されている。薬価は予算編成において重要な論点であり続けている。

保険料や国費等でまかなう公的保険医療において、高薬価算定の根拠説明徹底を

近年、医療費の伸びの中で、医療の高度化によるものが拡大している。革新的新薬開発等の治療技術の発展は、医療者・患者がともに希求するものであることは大前提であるが、同時に、保険料や国費等でまかなう公的保険医療においては、高薬価となる算定根拠が説明されるべきだ。新薬の薬価算定は従来から原価情報の開示が不十分で「企業の言い値」との批判もされてきた。開示度に応じた加算係数が導入されてからも開示は進まず、近年では創薬環境の変化等を理由に開示度向上は限界であるとの主張も製薬業界から提示されている。新薬の薬価算定過程における透明性確保、根拠の合理的説明を徹底するべきである。

後発品薬価は圧縮余地が縮小

また、後発品を中心とした医薬品供給不安定はいまだ深刻である。問題の背景には、後発品中心の薬価引き下げによる政府の医療費削減策等が安定供給の土台を切り崩してきたことがある。後発品薬価を圧縮する余地がいっそう縮小している中、国民負担の抑制と併せて、医薬品の安定供給を実現する議論が求められる状況である。

医療現場の疲弊は深刻

医薬品を使用する現場である医療機関では、物価高騰等により経営状況が悪化し、医療従事者の賃上げ、医療機器等の設備維持・改善に困難をきたすなど、深刻な疲弊が生じている。

当会は、政府が医療・社会保障費の抑制策を抜本的に転換すべきであることを強調した上で、2026年薬価改定等について下記のとおり要請する。

 

 

1.新薬の薬価算定における原価の開示度を高め、薬価算定過程の透明化を徹底し、合理的な説明を尽くすこと。その上で、高すぎる新薬の薬価については引き下げること。

2.後発品や長期収載品等医療現場に普及している医薬品の安定供給が確保される薬価とすること。

3.高薬価の新薬を中心に薬価改定した上で、薬価改定財源を使い医療機関の物価高騰対策、医療従事者の賃上げを行うこと。