9月25日、医療・介護・福祉分野の大幅増員、大幅賃上げ、診療報酬の大幅引き上げなどを求めて、「もう限界 平和と社会保障を立て直せ!9・25いのちまもる総行動」が日比谷野外音楽堂で開催され、全国から医療関係者など2200人が参加した。
主催は全国保険医団体連合会や日本医療労働組合連合会などでつくる実行委員会。主催あいさつした日本医労連の佐々木悦子執行委員長は「医療費4兆円削減や医療・社会保障費の大幅削減で医療機関や介護事業所の相次ぐ倒産で、地域医療、介護、提供体制が脅かされている。コロナ禍で入院できずに、自宅や介護施設に留め置かれ、必要な医療も受けられずに、亡くなった事例が多発したが、コロナ禍の反省が全く生かされず、国民の命が軽視されている。声を上げて行動し、平和を守り、国民の命と暮らしを守る政治へ転換させよう」と呼びかけた。
医療や介護現場の当事者らによるリレートークでも、医療・社会保障費の増額、労働者の処遇改善を求める声が相次いだ。
平和なくして医療なし
保団連の宇佐美歯科代表は「世界ではウクライナなどで戦争が起きており、多くの一般国民が亡くなっている。そして、今から80年前に起きた東京大空襲では、一夜にして約10万人が亡くなった。戦争では、一般国民や女性、子どもも大きな犠牲を払い、国民の生活は戦後も困窮が続いた。平和なくして医療はない。防衛費増に歯止めをかけ、社会保障費をどんどん増やしていくことが、必要」と強調した。
看護師の処遇改善は不可欠
看護師の若林志保氏は「患者さんに寄り添い、質の高い看護を常に提供できるよう頑張っているが、看護師が足りない。指導者や先輩が新人看護師の話を十分聞いてあげられない状況の中、不安が募り、疑問はそのままにされ、孤独感、疲労感を抱えたまま、自立だけをせかされメンタルが崩壊する」と看護現場の実態を告発。「自身や家族の生活が確保できなければ、患者さんを救うこともできない。退職者を引き留め看護師を増やすためには処遇改善が不可欠だ」と訴えた。
介護報酬引き下げは撤回を
ソーシャルワーカーの外所義久氏は、「山梨県内の介護事業所の調査では、介護保険の基本報酬が下げられ、7割の事業所が報酬減となり、訪問介護事業の継続が困難となっている。訪問介護は、単なるサービスではなく、高齢者の尊厳を守り、その人らしい暮らしを最後まで支える地域福祉の重要な役割を担っている。訪問介護の待遇改善、介護報酬引き下げの撤回を求める」と決意を語った。
保育士の日野沙央理氏は、「大切な命を預かり、責任を持って仕事をしているのに、年収が全産業平均より120万円も安く、生活が困難。子どもも職員も安心して過ごせない。限界がきて辞めていく職員はたくさんいる。社会保障が抑制され続け、防衛費を上げている日本政府に、私たちは黙っていられない」と憤った。
マイナンバー制度反対連会の石川敏明氏は、「安全、安心の国民皆保険制度を守るために、健康保険証を復活させよう」と訴えた。
集会参加者は、ケア労働者の大幅賃上げや高額療養費制度の改悪撤回などを求めるアピールを確認。集会後、パレードや厚労省要請を行った。