【10月24日厚労大臣記者会見】現役世代の保険料負担軽減理由に高額療養費制度の見直し迫る 

2025年10月26日

保団連は、10月24日の厚労大臣記者会見で審議会で年末までに検討が続く、高額療養費の見直しについて質問しました。

「高額療養費専門委員会で提出された資料では、腎不全、乳がん、肺がん、アルツハイマー病などの重篤な疾患で入通院する方の多くが高額療養費を利用している。外来特例の上限引き上げは、在宅患者や家族(現役世代)にも負担になる」と指摘しました。上野厚労大臣は、「高額療養費・専門委員会で関係者から意見を丁寧に聞いている。セーフティーネットとしての高額療養費制度を守りつつ、患者の方々の経済的な負担が過度にならないよう配慮していくことは大事だが、増大する高額療養費を負担能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、高齢者の外来特例の在り方を含め、引き続き丁寧に検討を深めていきたい」と答弁しました。

また、10月22日の専門委員会で日本経団連の井上委員が、「自民党と日本維新の会の連立合意書で、現役世代の保険料負担軽減が重要だと示されており、高額療養費制度も医療保険制度改革の項目の一つとして一定程度見直すべき」と発言したことについて、保団連は、「連立合意書の改革項目には高額療養費の見直しは含まれているか否か」「経団連が能力に応じた負担と言うのであれば、過去最高の内部留保を積み上げている大企業にこそ応能の負担を求めるべきではないか」と質問しました。この点について、上野厚労大臣は、高額療養費制度の見直しが政党間の合意の内容に含まれるかについて、「政府の立場からのコメントは控える」と答弁を拒否しました。また、大企業に応能負担を求めることは「税制に関する質問」を理由にコメントを控えると答弁しました。

上野大臣会見概要 |令和7年10月24日|大臣記者会見|厚生労働省
保団連:
高額療養費制度の引上げについてご質問します。10月22日の専門委員会で日本経団連の井上委員が、自民党と日本維新の会の連立合意書で、現役世代の保険料負担軽減が重要だと示されており、高額療養費制度も医療保険制度改革の項目の一つとして一定程度見直すべきと発言しました。私の理解では、連立合意書の改革項目には高額療養費の見直しは含まれていないという理解ですが、この点について確認をお願いします。また、専門委員会では、外来特例の上限引上げについて議論が開始されています。出された資料によると、高齢者が多く加入する国保、後期高齢で高額療養費、腎不全、乳がん、肺がん、アルツハイマー病などの重篤な疾患で入通院されている方が多く利用されている現状です。このようなことから、外来通院のがん患者・在宅患者ご本人だけではなく、ご家族にも、つまり現役世代にも負担になる上限見直しになるのではないかと考えていますが、この点についてご見解を伺いますお願いします。また、能力に応じた負担と言うのであれば、過去最高の内部留保を積み上げている大企業にこそ応能の負担を求めるべきではないでしょうか。
上野厚労大臣:
1点目ですが、自民党と日本維新の会の連立協議において、社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指すと合意されたと承知しています。その中で高額療養費制度の見直しが政党間の合意の内容に含まれるかについては、恐縮ですが、政府の立場からのコメントは控えさせていただきたいと思います。ただ、現役世代の保険料負担軽減を求める声が大きいということは承知しています。2点目ですが、高額療養費の見直しについては、現在、当事者の方にも参加いただいている専門委員会において、関係者の皆さんからご意見を丁寧にお伺いしているところです。セーフティーネットとしての高額療養費制度を守りつつ、患者の方々の経済的な負担が過度にならないよう配慮していくことは大事ですし、一方で、増大する高額療養費を負担能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、高齢者の外来特例の在り方を含め、引き続き丁寧に検討を深めてまいりたいと考えています。なお、大企業等のご指摘がありましたが、これは税制に関わることですので、私の立場からコメントは控えさせていただきたいと思います。