自民党・公明党・維新の会の3党合意を踏まえ、政府は、解熱・鎮痛剤、咳止め、たん切り、抗アレルギー薬、湿布、保湿剤など辛い症状を取り除く医療用医薬品(OTC類似薬)の保険外しを検討しています。保険から外された場合、保険薬に比べて価格が高い市販薬の購入が必要となり、保険給付を前提とした高額療養費制度、難病や子ども・ひとり親の医療費助成制度も適用されなくなります。多くの患者・国民が日常的に利用している薬が保険から外されると経済的にも大きな負担となり、必要な薬が使えなくなるなど健康への影響も避けられません。患者・国民への影響について難病患者家族の大藤朋子さんが呼びかけた影響アンケートには、子育て世代など現役世代も含めてこれまでに寄せられた5687件超の回答が寄せられました。 保団連は、患者影響アンケートを基に10月29日に記者発表しました。記者会見では患者・当事者から切実な闘病生活の様子が語られました。
子どもが使ってきた薬のほとんどがOTC類似薬
単なる風邪だと判断し自分で薬を調達していたら、意識障害が出てから、病気が見つかっていた可能性
廣瀬舞子 30代 子3人
子供が3人ともアレルギー疾患で薬を服用している。手肌も弱くて、薬のタイミングが遅かったり、忘れてしまうと、乾燥で口の周りが切れて、口を開けるのが痛かったり、かゆみが強くて、体をかきむしってしまってさらにひどくなる悪循環を繰り返します。
アレルギーの薬は内服薬、目薬、塗り薬、点鼻薬とさまざまな種類があり、小さい頃は、季節の変わり目や気圧の変化で、息をするたびにヒューヒューと音を鳴らし、苦しくなる喘息の症状が出ていたため、寝る前の吸入が欠かせなかった。子どもが使ってきた薬のほとんどが、OTC類似薬でこれが保険適用から外れていたら、アレルギーの薬かける3人分、お金がかかるので、内服のみという選択をしなければならなかったかもしれない。小さい頃から、窓口無料で医師の処方を受け、適切な対応ができていたので、今、症状が安定してきている。お金だけの問題ではありませんと、息子に風邪の症状があって、かかりつけの病院を受診。診察の中の最近、すごい水分欲しがって、という一言に、医師が糖尿病を疑い、息子の1型糖尿病を見つけることができました。
単なる風邪だと判断して、自分で薬を調達していたら、病気の発見が遅れ、意識障害が出てから、病気が見つかっていた可能性がある。高額療養費に手をつけようとしたときも、病気の疾患のある子どもたちが生きるには、自分でお金の間に合う範囲で何とかしてと言われているようで、本当に悲しい気持ちになります。
小さな子供は、自分で症状を訴えられない
高熱で風邪だと思ったが検査したら、ウイルス性疾患や細菌感染症だった
40代 子育世代
子どもが受診して、該当薬が処方されれば、実費がかかるとなると、今まで、小児医療費、無償のおかげでかからずに済んだ薬剤費用のやりくりが出てくる。私の子どもは、これまで風邪には何度となくかかってきました。また、風邪が悪化して、気管支炎、肺炎になり、救急外来を受診したこともありました。そのほかにも、インフルエンザ、コロナ、アデノウイルス、ノロウイルス、手足口病、ヘルパンギーナ、突発性発疹、溶連菌などの感染症、また皮膚も弱いため、おむつかぶれや冬のかさつきなども頻繁にあります。
便秘体質でもあるので、便秘薬も使ってきました。思い返せば、数えきれないほど病院通いをして、そのたびに薬を処方されてきました。その中には、今回、保険から外されようとしている該当薬がたくさんありました。子どもは、成長の過程で、さまざまな病気にかかります。今、止まらない物価高で、もうすでに家計が大変です。これ以上の負担を強いられるのは、限界のところに来ています。また、費用面だけでなく、受診控えの可能性も高まると思っています。そうなったら、かゆみや痛みなどの辛い症状を、子どもに我慢させることにもなります。特に、思春期になれば、家の家計を気にして、治療を遠慮する子だって出てくるかもしれない。アンケートでは、医療費、薬代の無償が中学生までだったので、中学を卒業した途端に、病院に行かなくなったが、高校3年の時に、18歳まで、医療費、薬代が無償になり、病院通いが復活したという人もいました。市販薬をドラッグストアへ、薬局で買えば済む話ではないということも強調したいです。特に、小さな子供は、自分で症状を訴えられません。私自身にも判断がつきません。高熱が出て、風邪だと思って検査してもらったら、ウイルス性疾患や細菌感染症だったということが多くあります。子どもたちは、基本的に、学校や保育園など、集団の場で生活しているので、受診せず、検査せず、市販薬でと済ませてしまえば、感染症の蔓延にもつながってしまいます。高熱が出たから、解熱剤を飲ませる熱が下がった症状が治まれば、それで終わりではない話です。
それだけでなく、子どもは、幼少時の早めの医療ケアのおかげで、丈夫な体ができていくのだと思います。お金の心配なく、安心して、お医者さんにかかることができる、この体制を存続させてください。
毎日薬を飲みながら、痛みに耐えて生活
好きで薬を使っているわけではない
40代 神経難病患者
私は、難病指定されていない神経の病気を20年、25年以上前の怪我から発症して、痛みの病気を抱えており、24時間、両手の二の上からに、指先まで走るような痛みとしびれがあり、ちょっとの負荷をかければ、氷のように冷たくなって、脱力して力が入らなくなります。服がこすれる刺激で痛みが増し、天気にも大きく左右されながら、日々痛みと生活しています。今は、非オピオイド系鎮痛剤と呼ばれる、いわゆる癌の痛みに使う鎮痛剤を使って生活をしていますが、ひどいときは痛みで動けず、発症から数年は入院ばかり、あまりの痛みにうつ病も発症し、ほぼ寝たきりでした。どうにかリハビリで動けるようになっても、外出すれば、人とぶつかって、また痛くなるかもしれないという恐怖で、パニック障害になり、発症とともに骨がスカスカになっているので、ちょっと転んだら骨折します。もちろん、痛すぎて眠れないので、日常では不眠症を繰り返している。
両手の痛みをこらえることで、肩こりや腰痛、頭痛はもちろん今までになかった。ひどい片頭痛や月経痛などにも日々悩まされています。両手の肘や指の関節は、すぐに動かなくなるので、毎日、薬を飲みながら、常に痛みに耐えて、リハビリをして、固まらないようにして動かして、どうにか日常生活を困らないくらいまでにして生活しています。発症当時は、箸を持てず、曲がったままの肘が伸ばせるようになったのは、薬を服用してリハビリをしてやっと手に入れて、長袖の服が着られる、手袋ができるようになるという日常をやっと手に入れてきた。非オピオイド系の鎮痛剤は、便秘になるのでマグミットが必要です。私自身は、この薬で、かゆみが全身に発症するので、アレグラなどのかゆみ止めも飲んでいます。副作用があるのがわかっていても、飲まなければ耐えられないので、仕方なく飲みます。頓服を含めれば、10種類以上、月に1万円ほどの薬剤がかかる薬代がかかります。悪い状態の時は、もっとかかってました。今もらっている薬の中には、ロキソニンなどのOTC類似薬も含まれているので、保険から外されると、代金が相当に上がり本当に困る。私は、薬がなければ、生活はしていけない。昨日も、通常の量では、痛みが治まらず、眠れなかったので、追加してどうにか眠れているという状態の日常生活を保っている。治る保障もないので、薬をやめられる未来もない。しかも、好きで病気になったわけではなく、生活習慣が悪かったわけでもなく、医者からは運が悪かったねと言われた。きっと、今、一緒にこの場で反対を訴えている人とは、みんな私と同じく好きで、薬を使っているわけではない。医療費を圧迫している、悪いように言われて、やめられるものなら、やめたいよと思っている人が大半ではないか。でも、薬はやめられない。生きていくために必要だ。現役世代の保険料を減らすためにと、健康な人から賛成を得られている、このOTC類似薬の保険外しですが、今日の時点で、あなたが健康で怪我をしていなくて、病気をしていないから、薬が必要じゃない。そういう状態は、今、たまたま運がいい。そのそれ、ただ1つなんです。あと5分後に事故に遭うかもしれない。明日、高熱を出して、未知の病気になるかもしれない。その時、助けてくれるのが今の保険制度であり、保険で処方される薬だと思います。薬局で高額で買うしかない。仕方なく買った薬の箱に、10個ぐらいしか入ってなくて、すぐに飲み終わってしまった。なくなってしまった。また、買ってという状況を想像してほしい。慢性疾患は阻害されるからいいだろう。少しの品目だからいいだろうという人の声を多く見聞きますが、そもそも明日、病気になった人が、慢性疾患にたどり着くまでに、どれだけの負担がかかるかわかりますか?私もそうなんですが、診断がつくまでに、何ヶ月も何個も病院を回り、ようやく診断される。
その間、薬局で薬を買い続けられますか?病気になったり、病名が分からない状態で、高額の薬を買わないといけないなんて考えただけでも、恐ろしくなります。知り合いに地だから、地だからといって、薬局で薬を買い続けて、やっぱりおかしいから、病院行ってみようかなと思ったときは、まあ、がんで、1年足らずで亡くなった人がいます。OTC類似薬の保険外しは、そういう人を増やすだけだと思います。病気が見つかってすぐ死んじゃったから、医療費がかからなくて良かったねというような制度を、国が進んで作らないでください。誰もが生きやすい国をつくるのが、国のしゃ、生きやすい社会をつくるのが、国の仕事ではないですか?そもそも、この制度を提唱して生きていることで、お金がなければ、生き生きていかなければいい、というように言われているように思います。病気で苦しいのに、さらに苦しくなります。1人1人が生きやすい社会、生きていかれる社会保障が持ってください。誰もが生きていて、良かったな、という社会にしてください。だからこそ、絶対にOTC類似薬の保険外しはやめていただきたいです。
関節の痛み、ヘルニアの痛み、さまざまな痛みの症状とずっと闘ってきた
いつ死ぬかわからないという状態の中でも生きている
50代の心疾患の難病患者
私の人生は、病気と痛み、これをどんどんどんどん繰り返して、病気と痛みとの戦いで生きてきました。幼少時に心臓の雑音があるということで、心臓疾患のまずは元が発見され、それでも元気でいたので、中学当時、柔道、レスリング等々にいそしんできましたが、その時点で椎間板ヘルニア首と腰を発症いたしまして、さらに膝の関節を完全に破壊してしまうというふうにも見舞われましたが、成人を過ぎ、30代を過ぎ、脳梗塞から始まり、その心臓を懸念された心臓の突然の発症、これが42歳の時でした。42歳の時に心臓、膝の手術をしましょうということで、検査したら心臓がやばいです。大学病院に入りましたら、難病指定難病の肥大型心筋症である心臓がもう悲鳴を上げて限界であると言われました。でも、その中でも、関節の痛み、ヘルニアの痛み、さまざまな痛みの症状とずっと闘ってきました。
飲んでいる薬は今のところ心臓の薬だけで7種類。そして痛みも激痛に近い。痛みに耐えかねるときは、ロキソニン、イブプロフェン等々の抗炎鎮痛剤、そしてフェルビナクのシップ、膝の関節等々に貼ったり、痛みをなんとか少々なくしようということで、使っております。そして、心臓のこの病気のせいで、あのたん特に血の混じった血管を逆流で入ってしまうので、ムコダインが投与されております。そして、体質もあまり強くないので、ちょっとした怪我でも化膿してしまうのでリンデロンを処方されたり、花粉症の時期は、アレジオン処方されたりしております。使っていた薬を調べたら、28の中で9種類が該当しておりました。そして今現在の心臓疾患、または脳梗塞の後遺症もございまして、血液をサラサラにする薬も処方されていますので、それこそ10何種類を飲まなければいけない状態が毎日毎日続いています。心臓疾患の薬はただでさえ、保険を使っても非常に高額なんです。それに鎮痛剤、または、本当にちょっとした怪我でも、感染症にかかりやすくなってしまっているので、キックウェルの薬等々が処方されると、1ヶ月、何万円とか、もううんざりするしかないぐらいの病気になっております。そして、この問題の心臓疾患ですけれども、いつ死ぬかわかりません。明日かもしれません。5年後かもしれません。主治医からも、そのようなめちゃくちゃな不明瞭な状態で、毎日毎日、一日一日をいつ死ぬかわからないという状態の中で生きています。そして、仕事も発症時から5年ほとんどできませんでした。なぜかと、心臓がもう限界を迎えて、実際に4回意識を失って、そのうち3回は本当に死んでいるか、死んでいないか分からない状態になっています。それでもまだまだ生きています。生きます。なぜかと、こういう皆様の健康、この薬もそうです。
みんなの健康を考え、私の健康を考え、家族の健康を考え健康でなければ生きていけないという。なぜ健康を失ってしまったか。こんなジレンマで悩んでいたらもう生きていく気力もないんです。そこに薬の高額なものが毎日飲まなければいけない。でも、お金が少ない。こんなことを繰り返したら絶対いけない。これを私としても声を大にして訴えて、厚生労働省や日本国政府に強く訴えて、ぜひともこのOTC類似薬を保険適用外にするこのような悪行を絶対やめさせるべきです。私たち以上に苦しんでいる病気の方もたくさんいると思います。私も毎日苦しいです。それでも闘います。生きます。なぜか皆さんの健康です。日本の国の健康です。このために、ぜひとも国は考えていただきたい。
自己判断で薬を選ぶには、癌は手ごわすぎる病気
保険から外れて使うことが難しくなれば、仕事を継続できるか不安です。
石川県 花岡修子さん(大腸がん、50代、子ども2人)
大腸がんステージⅣの方です。5年前に腸閉塞からがんが見つかり、2回の手術を経て、化学療法が始まりました。以来、マグミッドリンデロンVG、ヘパリン類似薬のクリームやローションを常用しています。以前は、アレルギー薬のフェキソシナジーも使っていました。手足の爪が割れたり、ひび割れ、出血、乾燥による痛みが出ることもありますので、保湿薬は一日に何回も使います。年に12度症状が悪化することがあり、薬が足りなくなったこともあります。薬局に行きましたが、何を買えばいいのか分からず、自宅にある軟膏を使ってみましたが、焼け石に水でした。指を割れ続け、大量の絆創膏を張って、次の受診まで我慢しました。もし、保険から外れて、薬局で購入するとなれば、価格についても心配ですし、どのような基準で選べばよいのか分かりません。ステロイド薬は、強さもいろいろありますし、ある薬を使って、症状が悪化した場合、使うのをやめた方がいいのか、それとも、使い続けたらいいのか、効果に変化があった場合は、強い薬にするのか?それはどの程度の強さなのか?
癌の副作用と一般的な皮膚症状で、薬の使い方は同じなのか、違うのか、いろいろとわからなくて不安です。便通訳の方も、容量が自分に合わなければ、漏らしてしまうかもしれません。自己判断で薬を選ぶには、癌は手ごわすぎる病気だと思います。
薬剤師に相談するということになるのかもしれませんが、カウンターで、がんのことや便通の相談をするのは、抵抗があります。かかりつけ、薬局、薬剤師を持ちましょう、というポスターを見たことがありますが、普段使っている薬局の薬剤師は、毎回変わります。どこから話せばいいのか、これまでの経緯をどこまで理解されているのか、分かりません。現在は、手足症候群を薬で抑えながら、仕事を継続し、罹患前の水準で働くことができています。自分に合った今の薬年単位の長い治療を助けてくれる薬が、保険から外れて使うことが難しくなれば、仕事を継続できるか、不安です。私のような方は、たくさんいるのではないでしょうか。どうか、現状のまま薬を使わせてください。
医師から「痛い場合は、一日3回までなら、どんどん飲んで」と言われ、日常生活を送ることができた 兵庫県 西脇博美さん(乳がん、50代、子ども2人)
乳がんを罹患して、現在、通院治療中です。2017年に抗がん剤治療をした影響で、足首やふくらはぎのむくみがひどく、2021年頃、さらに足の裏もむくむようになり、月激痛で歩くのも辛い状態になりました。ロキソニンを処方され、最初は一日3回、徐々に減らして数ヶ月から半年ほど服用していました。最初は、強い痛み止めを飲むことに迷いがあり、少し日が控えていましたが、医師から「痛い場合は、一日3回までなら、どんどん飲んで」と言われ、しっかり服用することで、日常生活を送ることができました。保険外だったら、飲むのを控えたままだったかもしれません。現在は安定していますが、もしかしたら、今後、必要になる薬があるかもしれないし、これから治療する若い世代もいると思います。誰もが安心して、治療を続けられるように、薬を保険から外すのはやめてくださいです。


