
厚労省は12月25の医療保険部会で高額療養費の限度額引き上げに伴う財政影響を示しました。高額療養費制度の限度額引き上げは年1回から3回まで利用者が対象となります。2026年8月に一律7%限度額が引き上げられ、2027年8月には現行4区分の所得区分が13区分に細分化され限度額が引き上げられます。※年4回以上利用の多数回該当は据え置かれました。
制度利用者の8割が負担増

年1回から3回の利用者は厚労省資料によると660万人で、年1回から3回の利用者の約8割に上ります。
70歳未満の制度利用者(外来特例を除く)は320万人(全利用者395万人の81%)でした。
70歳以上の制度利用者(外来特例を除く)は340万人(全利用者426万人の79%)でした。
受診抑制で1070億円

2026年と2027年の2年間にわたる制度改悪で給付費が2450億円(保険料削減効果が1640億円、公費削減効果が800億円)削減されます。新設された年間上限該当者(約50万人を見込む)で給付費増加額は540億円となり、給付削減額と給付増加額の差し引きの金額となります。
<各制度見直しに伴う削減額>

月額限度額の見直し ―670億円
所得区分の細分化 ―1060億円
外来特例の見直し ―1260億円
年間上限の導入 +540億円
重大なことは限度額引き上げに伴う受診抑制(いわゆる長瀬効果)を1070億円見込んでいることです。受診抑制により削減される金額は削減全体(2450億円)の約44%にあたります。まさに命を削って1000億円削減されることを見込んでいることになります
※長瀬効果とは実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果の算定式に今回の見直しに伴う実効給付)率を代入し機械的に算出された額
保険料軽減は1人年1400円
厚労省は、限度額引き上げの目的の一つに現役世代の保険料負担軽減を掲げています。加入者一人当たりの保険料軽減効果は、年間で1400円であることが分かりました。
各保険者で600円から2100円とばらつきがありますが、年間で1400円、月額だと116円とわずかな軽減にとどまります。


