非核平和部長 永瀬 勉
保団連非核平和部の永瀬勉部長(写真)に、岸田政権の改憲や防衛費増額方針を踏まえた、今回の参院選の課題を聞いた。
集団的自衛権の危険
第2次安倍政権は、従来の憲法9条の解釈を変更して集団的自衛権を行使できるように閣議決定し、安保関連法を強行的に成立させた。集団的自衛権は日本を防衛するのではなく、戦争を引き起こす危険のあるものだ。ロシアのプーチン大統領もウクライナで、集団的自衛権の行使と称して、国連憲章に反した侵略行為をしている。
今岸田政権は、9条に集団的自衛権や敵基地攻撃能力を持った自衛隊の存在を書き込み、名実ともに自衛隊を軍隊とし、米国と共に海外で戦争ができる国にしようとしている。
5月23日の日米首脳会談後の共同記者会見で、バイデン米大統領は、台湾防衛に関与する意思があるかとの質問に「イエス」と明言した。仮に米国が台湾有事で軍事介入すれば、日本も戦争に巻き込まれてしまう可能性は高い。
改憲勢力3分の2を阻止するために
このような中で、与党と日本維新の会、国民民主党はそろって改憲や軍拡を主張している。
岸田首相は日米首脳会談で、バイデン大統領に防衛費の「相当な増額」を約束した。自民党は防衛費のGDP比1%から2%への引き上げを提言しており、6月7日に出された「骨太の方針」でも、「防衛力を5年以内に抜本的に強化」するとされている。防衛費を倍増するならば5兆円超が必要だが、その財源があるならば、医療、社会保障の充実にあてるべきだ。
来月の参院選が終われば、最長3年ほど国政選挙がない期間が続く。その間に軍拡路線が進み、改憲発議が本格的に動き出す危険がある。これを阻止するため、参院選では防衛費倍増に反対する議員を増やし、改憲勢力に3分の2を取らせない選択をしたい。さらに、9条を生かす取り組みとして、「憲法改悪を許さない全国署名」もおおいに広げよう。