オンライン資格確認を考える①
骨太の方針2022は、マイナンバーカードの保険証利用などオンライン資格確認の導入義務化を打ち出した。問題点を連載で解説する。第1回は「骨太」が示す工程について考える。(随時掲載)
23年4月に原則義務化
23年4月に原則義務化
骨太の方針2022では、マイナンバーカードの保険証利用などオンライン資格確認について、23年4月以降、医療機関・薬局にシステム導入を原則義務化するとした。また、24年度中をめどに保険者による保険証発行の選択制の導入を目指すとした。さらにシステム導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止も目指すとした。
マイナンバーカードによる受診の普及に向けて医療機関に体制整備を課す形だ。
運用開始は2割弱
現在、オンライン資格確認を運用開始した医療機関は、全医療機関の22.9%に留まる。医科、歯科診療所では各々15.5%とさらに低い。厚労省は、「骨太」に先立って、導入ペースを現在の月9000件から1万5000件、さらに1万9000件に引き上げて、23年4月におおむね全ての医療機関等での導入を目指す方針を打ち出している。
オンライン資格確認を行うには、レセプトオンライン請求回線が整備されていることが必要だが、現在、同回線の整備は医科診療所で7割、歯科では25%に留まる。回線の整備状況からも、23年3月末までにシステム導入の原則義務化は非現実的である。
医師会・歯科医師会も「困難」
「骨太」を受けて、日本医師会は、松本吉郎会長が「コロナ禍や機材の供給不足、ベンダーの対応能力等の状況を考えれば、現場感覚としてはスケジュール的にはなかなか難しい」(6月25日)として、23年4月義務化には疑問を呈している。日本歯科医師会の堀憲郎会長も、「対応できない医療機関に対する配慮が見えていない段階で、賛成はしかねる。今後とも医療界として慎重な対応を求めたい」(6月16日)と難色を示している。
患者・国民も特段求めてないオンライン資格確認への必要性の疑問もさることながら、医療現場の理解、状況を無視した導入の押し付けは到底認められるものではない。