【談話】武器輸出規制緩和に反対し、閣議決定の撤回を求める

2024年4月5日
全国保険医団体連合会
非核平和部長 矢野 正明

政府は3月26日、日英伊で共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出を解禁することを閣議決定した。岸田首相は先の参院予算委員会で「国の安全保障に関わる課題は、国民の理解を得ながら進めていくことが大変重要だ」と述べたにも関わらず、国会の正式審議も経ずに閣議決定のみで強行したことはまさに議会制民主主義を踏みにじる暴挙である。

運用指針では輸出の対象は次期戦闘機に限定し、輸出先は日本と防衛装備品・技術移転協定を締結する国に限り、現に戦闘が行われている国には輸出しないとしている。

しかし一度殺傷武器の輸出を認めれば「武器輸出三原則」は崩れ、その他の殺傷武器についても輸出が推し進められることは必至である。移転協定も閣議決定だけで締結・変更できるものであり歯止めの効果は期待できず、また殺傷兵器である以上、輸出先が「現に戦闘していない」国であっても、輸出後戦闘に使用される危険が常につきまとう。

今回の次期戦闘機は英伊にとっては現行機「ユーロファイター」の後継となるが、同機はサウジアラビアに輸出され、その後イエメン内戦での空爆に用いられ多くの民間人を殺傷している。

今も続くガザでの紛争においても、イスラエルの武器貿易が彼らの大規模侵攻を支えており、武器の流通が紛争を助長、激化させる危険があることは明白である。

「武器輸出三原則」に項目が追加された1976年の国会答弁において、当時の外務大臣は「兵器の生産や兵器の購入というものはいわゆる非生産的なものでありますから、本当はそのような姿では経済発展というものには寄与しない」、「我が国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれてはいない」と答弁している。

政府は今回の閣議決定について「市場が大きくなり効率化する」として軍需産業のさらなる拡大を掲げている。

私たちは人命を守る医師・歯科医師の団体として、憲法が掲げる「平和国家」の理念に反する武器輸出規制緩和に反対し、閣議決定の撤回を求めるものである。