【要請書】マイナンバーカードの健康保険証利用登録 マイナポイント7千億円の無駄遣いの撤回を求める

※全国保険医団体連合会では、下記の要請書を発表し、総理、財務大臣、厚労大臣及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:140KB])。

マイナンバーカードの健康保険証利用登録
マイナポイント7千億円の無駄遣いの撤回を求める

2021年12月14日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

政府は2021年度補正予算でマイナポイント第2弾として1兆8134億円を計上している。このうちマイナンバーカードの健康保険証利用登録を対象とする7,500円分の付与には、7125億円の費用がかかる。すでに、医療機関が設置する顔認証カードリーダーのシステム整備費補助金に700億円が見込まれている。マイナンバーカードを健康保険証として利用するかどうかは、患者も医療機関も任意である。このような事業に8千億円もの血税を投入することは、無駄遣いと言わざるを得ない。健康保険証利用登録に付与する7125億円の撤回を求める。これだけの国費を投ずることができるなら、患者負担の軽減、看護師等の処遇改善などに振り向けるべきである。

マイナンバーカードは、同カードによって接続できるマイナポータルを介して、所得や資産、銀行口座、税・社会保障の負担、年金・医療など社会保障の給付、子ども・子育て、世帯情報など膨大な個人情報を一元管理するものである。政府は「役所に行かずに行政手続きができる」「自分の個人情報が閲覧できる」などと利便性を強調するが、一元管理によって個人情報漏洩の危険性が高まることは間違いない。マイナポイントやテレビ・ネットCM、新聞の全面広告などの誘導策にもかかわらず、カードの普及率が4割にとどまっている背景には情報漏洩に対する国民の不安がある。

政府のねらいは、国家による個人情報の管理による税・社会保障の負担増と給付抑制の強化などであり、国民統制につながる危険性がある。さらに、民間企業が個人の行動パターンや嗜好までも把握し、利益拡大のために個人情報を活用する道の拡大も危惧される。

国民の利便性を高めるデジタル化を否定するものではないが、健康保険証番号、運転免許証番号、基礎年金番号など個人情報の分散管理に格段の不便を国民が感じているわけではない。個人情報の保護のためには、分散管理が有益である。

 急ぐ道理も必要性もないマイナンバーカードの普及に1兆8千億円もの多額の血税を投ずることの撤回を重ねて要求する。