※全国保険医団体連合会では、下記の声明を発表し、文科大臣、全国医学部長病院長会議及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:117KB])
2022年1月17日
全国保険医団体連合会
女性部
今月中旬から全国の大学が入学試験シーズンを迎える。私たち保団連女性部は、医師を志し勉学に励む女性受験生の努力が裏切られることのないよう、女性差別のない公正な入試の実施を全国の大学医学部・医科大学に強く求める。
2018年に医学部入試での女性受験生差別が明るみに出て以来、保団連女性部は、再発防止のため、全医学部・医科大学の男女別合格率を公表するよう求めてきた。
文科省は18年9月に13年度から18年度の全医学部・医科大学の男女別合格率を公表した後、不正が発覚した大学以外は男女別合格率を公表しないとの考えを示していた。しかし20年12月に一転して19年度と20年度入試分の公表に踏み切り、次年度以降も毎年公表することを決めた。21年度入試分も、既に公表されている。
これらのデータをみると、21年度入試では、13年度以降で初めて女性の合格率(合格者数/受験者数)が男性を上回り、男性の合格率が女性よりも高い大学の割合も、7割程度から4割程度に激減するなど、20年度までとは明らかに異なる傾向を示している。この理由は明らかにされていないが、20年12月に文科省が毎年の男女別合格率公表を表明したことが、女性差別のない公正な入試の実施を後押しした可能性もある。
入試差別が完全に解消されたかどうかは、今後も長期にわたって経年的にデータを注視し、慎重に見極める必要がある。そのためにも文科省は、毎年、全ての医学部・医科大学の入試について、男女別合格率のみならず、受験科目ごと(筆記試験、面接等)の男女別成績なども調査し公表すべきである。
医学部入試差別の要因である出産・育児による女性医師の離職の背景には、過労死ラインを超えるような医師の過酷な働き方や、日本社会に根深い「男は仕事、女は家庭」という言葉に代表される性別役割分業がある。現状のままでは、入試差別が解消されても、女性医師は医師としての過酷な労働と家事・育児の二重負担に苦しみ、医療現場はより深刻な人員不足に陥るおそれがある。
保団連女性部は、男女ともに人間らしく働ける医療現場を実現するため、医師数の増員と、医療界の性別役割分業意識の解消に向けて、引き続き取り組みを強めていく。
以上