保団連第50回大会決議 コロナ危機を打開し医療再建・充実を求める

※全国保険医団体連合会では、2022年1月29、30日に開催された第50回定期大会において下記の決議を採択し、マスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:169KB])

国内で新型コロナウイルスの感染患者が確認されてから約2年が経過した。第5波までの政府のコロナ対策は、感染急増と医療逼迫・崩壊を繰り返し国民生活と医療現場を疲弊させた。

今回露わになった医療・社会保障の脆弱さを克服し、国民生活の困窮や経済低迷を立て直すため、大企業・富裕層の利益追求を最大化させる新自由主義政策からの脱却は不可欠である。

岸田政権は、2022年診療報酬改定では、ネットで-0.94%と5回連続のマイナス改定とし、本体改定率は0.43%とわずかなプラス改定にとどめた。コロナ以前の医療水準の回復や、地域医療再建や医療現場の改善には程遠い。さらに、コロナ禍で健康悪化や重症化が懸念される中、10月から75歳以上の窓口負担2割化を実施することを決め、患者・家族・医療機関にさらなる追い打ちを掛けようとしている。重点政策に掲げた看護職員の処遇改善でも、対象はコロナ病床などに限定された上、依然賃金水準は全産業平均よりも低いままである。すべての医療従事者の処遇改善に向けて診療報酬の大幅引き上げに踏み込むべきである。

オミクロン株による感染第6波への対応では、早め、先手の対応と検査、保健所、医療等の体制構築と強化が不可欠である。しかし、政府は外来、乳幼児への診療報酬の感染対策加算を廃止し、検査料の引き下げを強行。コロナ対応の要である公立・公的病院の統廃合計画をあきらめていない。さらに、防衛費をGDP比1%と突破させ、「敵基地攻撃能力」保有の検討や9条改憲に前のめりである。私たち医療者は、本年7月の参議院選挙に向けて、新自由主義政策からの脱却と9条をはじめ憲法を守り生かす政治への転換を強く求める。そしてコロナ禍での患者・国民の命・健康確保に向けて役割を発揮できるよう、以下の事項を強く要求する。

一、 地域医療の立て直しや医療従事者の処遇改善に向けて診療報酬の大幅引き上げ、財政措置を拡充すること。
一、 75歳以上の窓口負担2割化の本年10月からの実施を中止し、窓口負担を大幅に軽減すること。
一、 新型コロナワクチン3回目接種の早期実施、治療薬の確保と配備など療養体制を確立すること。
一、 無料の検査所の設置や医療機関等での検査体制を抜本的に拡充すること。
一、 保健所の体制を強化し、公立・公的病院など病床削減計画を見直すこと。
一、 平時より余力ある医療提供体制を確保すること。

以上、決議する。

2022年1月30日
全国保険医団体連合会 第50回定期大会