【要望書】金パラ高騰の異常事態への緊急対応を求めます

※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、厚労大臣及びマスコミ各社に送付しました。(PDF版はこちら[PDF:206KB]

2022年3月14日
全国保険医団体連合会
歯科代表 宇佐美 宏

貴職の国民医療確保のためのご努力に敬意を表します。
さて、金銀パラジウム合金(以下、金パラ)の価格が高騰し、歯科医療機関における「逆ザヤ」が急拡大しています。ロシアによるウクライナ侵攻という国際情勢の激変を背景に、パラジウム価格は2021年12月から3カ月足らずで約2倍に急騰し過去最高の価格となっています。また金の価格も同じく過去最高を超えて上昇しています。厚労省として、この危急の状況への対応を講じるよう、緊急に要望いたします。

金パラの市場価格は、30グラムあたりの保険償還価格88,530円に対し、市場価格は12万円を超える状況であり、「逆ザヤ」は約25%に達しています。保団連の調査では、今年1月に金パラの市場価格と保険償還価格が逆転して以後、「逆ザヤ」が拡大し続けています。
4月の診療報酬改定で保険償還価格は30グラムあたり94,470円に引き上げられますが、なお足元の市場価格とは大きな乖離があります。

これまでにも金パラの「逆ザヤ」は歯科医療機関経営に重くのしかかってきました。「逆ザヤ」解消を求める切実な声を受け、4月から価格改定制度の改善が図られます。この改善は、市場価格を後追いする現行制度について、改定頻度等を見直し後追いのタイムラグにより生じる価格乖離を緩和するものです。「逆ザヤ」を完全に解消する抜本解決策とは言 えないまでも、素材価格の変動が緩やかな状況であれば一定の効果が期待される内容です。

しかし、現状は紛れもなく非常事態であり、先行きの見通しも極めて不透明な状況です。コロナ禍で悪化した歯科医療機関の経営を守るためには、平時の対応にとどまらず、特例的な対応も含めた喫緊の判断が必要です。また、材料の異常な高騰による患者負担の増加が、患者・国民の暮らしと口腔の健康に悪影響を及ぼすこともあってはなりません。
目下の国際情勢を踏まえ、歯科医療機関の経営と患者・国民の口腔の健康を守るため、以下の対応を講じるよう強く要望いたします。

一、 2022年1月以降の金パラ実勢価格と保険償還価格の差を補填する緊急対応を行うこと。
一、 対応においては、患者負担増とならない手立てを併せて講じること
一、 2022年4月以降の制度改善にとどまらず、抜本改善へのさらなる検討を進めること
以上