【アピール】 原発ゼロの社会を目指して

※保団連は、第10回原発問題学習交流会の参加者一同でアピールを採択しました。PDF版はこちら

 

原発事故汚染水(ALPS処理水)の海洋放出を止めよう

東京電力福島第一原発事故から11年-原発ゼロの社会を目指して

2022年4月24日

全国保険医団体連合会

第10回原発問題学習交流会参加者一同

 東京電力福島第一原発事故から11年経過したが、原発事故の収束に向けた廃炉作業が難航し、大量に発生している原発事故汚染水(ALPS処理水)や放射性廃棄物の最終処理は目途が立たない。

政府と電力各社は、全国的に原発の再稼動の動きを強化し、2021年4月、政府は2023年春頃に原発事故汚染水(ALPS処理水)の海洋放出方針を決定し準備を進めている。県魚連と交わした覚書「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」を反故にしたもので、断じて許されるものではない。今年4月5日、全魚連会長の岸宏氏は岸田首相との面会後、「放出反対という立ち位置を続けていきたい」と話している。私たちはこの全漁連会長の表明を支持する。

私たち医師、歯科医師は、命と健康を守る立場から、原発事故汚染水(ALPS処理水)の海洋放出に反対する。貯留タンクによる陸上保管の継続と、地下水流入の防止対策、トリチウム等の放射性物質の分離技術の早期開発と導入、放射性物質完全除去の実現などを要求する。

海洋放出以外の汚染水処理方法について、現在のような貯留タンクによる保管でも十分管理できるとの報告があるにも関わらず、政府と東電は海洋放出を決定した。原発事故汚染水(ALPS処理水)にはトリチウム以外の放射性物質が含まれている恐れがあり、それを懸念する国内外の反対の声が強い。問題となっている沿岸地域の漁業などへの風評被害、魚汚染による人体への影響などが全く考慮されていない。

今も福島県では3万2千人を超える方々が避難生活を続けているが、国と東電による「福島切捨て」策を進めている。新たに復興庁は4月8日、避難した住民の医療・介護の保険料、窓口負担、利用料を減免してきた国の財政措置を、23年度から段階的に縮小し、27年度末に廃止する方針を示した。帰還困難地域が解除された市町村では、県外避難していた住民の生活を再建には多額の資金がかかるので、国による医療・介護の減免措置の継続が必要である。

持続可能な未来を築くには、エネルギーは再生可能エネルギーを推進することが必要である。

政府は、新エネルギー基本計画で「重要なベースロード電源」と位置づけて、今後も原子力を使い続けるつもりでいるが、福島第一原発事故を反省し、早急に再生可能エネルギーに方針転換すべきである。

全国保険医団体連合会と第10回保団連原発問題学習交流会参加者一同は、現在取り組んでいる「アルプス(ALPS)処理水海洋放出に反対する署名」と原発ゼロ推進の運動を引き続き進めることを表明する。