光熱水費等の高騰や食材料費の値上げに対して、
すべての医療機関・介護事業所等への緊急財政措置を要望します
2022年7月20日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇
貴職におかれましては、国民の生命と暮らしを守るため、日夜国政の重責を果たされていることに心より敬意を表します。本会は、会員医師・歯科医師10万7千人を数える全国の保険医協会・保険医会の連合会です。
昨年からつづく原油高とそれにともなう電気代等の光熱水費の値上がりに加え、この間の食材料費をはじめとする物価高騰の影響は、国民生活、生業のみならず、医療機関や介護事業所も直撃しています。
福祉医療機構の6月の調査によると、前年度同時期(4~5月)に比べ、原油価格や物価高騰による影響を受けているとの回答は病院で86.6%、特別養護老人ホームで88.5%に上り、うち22年度上半期の医業費用・サービス活動費用が前年度上半期比5%以上増加見込みとの回答は病院で53.9%、特別養護老人ホームで48.9%となっています。
また当会加盟団体の山形県保険医協会が会員医療機関等に行った緊急アンケートによると、回答した診療所の82%、有床診療所の100%、病院の97%が「電気料金が上がった」とし、うち前年同月比で20%を超える上昇との回答は、診療所と有床診療所で約4割、病院では約8割に上りました。また、食材料費高騰による入院食への深刻な影響の実態も寄せられました。
新型コロナ感染症への対応による経費増や患者さんの受診控えによる収入減、度重なる診療報酬のマイナス改定などで、医療機関の経営基盤は脆弱なものとなっていたところに物価高騰の影響がのし掛かっており、個々の医療機関での対応は限界を超えています。さらにロシアによるウクライナ侵攻、円安の影響などにより、物価高騰は今後もつづくことが見込まれます。このままでは、患者さんの療養環境の維持、地域の医療提供体制維持にも影響が出かねません。
厚生労働省は事務連絡で、食材料費の値上げや電気代等の光熱水費の高騰に対して、医療機関、介護事業所等についても「地方自治体の判断で、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用ができる」としました。しかし、多くの自治体が対応できていない状況です。
こうした事態を踏まえ、国の責任で、すべての医療機関・介護事業所・障害福祉事業所に対する緊急財政措置を行うことを強く要望します。
記
一、すべての医療機関・介護事業所・障害福祉事業所を対象に、光熱水費の高騰や食材料費の値上げに対する財政措置を講じること
一、入院時食事療養費、入院時生活療養費を緊急に引き上げること。その際、患者負担は増額しないこと