【声明】薬価中間年改定財源は診療報酬本体に全額充当すべき
2023年4月に予定される薬価改定(中間年改定)に向けて、中医協では薬価調査案が了承され、今後、改定対象範囲含め具体的な改定方針が議論される見込みである。
新型コロナウイルス感染症の第7波が猛威を振るう中、病床稼働などでの医療逼迫に加え、光熱水費・食材料費等の物価高騰が医療機関に追い打ちをかけている。政府肝いりの看護現場の処遇改善策は財源規模・対象範囲など不十分である。加えて、全ての医療機関が取り組んでいる日々の感染防止対策への評価不備やセキュリティ対策コストの不足、目前に迫る医師等の働き方改革への対応に至るまで、医療提供体制の維持・強化に向けて財政措置が不可欠な状況にある。にもかかわらず、4月の診療報酬改定では、大半の医療機関に実質本体ゼロ%改定が強いられるなど、かえって地域医療提供を弱める形となっている。
こうした中、かりにも薬価改定を行う以上、改定で捻出した財源は、コロナ対応の強化等に向けて、医療経営の維持・強化のために全額活用すべきである。例えば、感染症対策実施に係る臨時特例加算の復活・充実、感染対策向上加算や看護職員処遇改善評価料の引き上げ・改善、PCR検査等の体制確保に向けた検査料・判断料や入院時食事療養費等の引き上げはじめ診療報酬本体に全額充当して、医療提供体制の維持・強化を図るよう強く求めるものである。
また、中間年改定について、4大臣合意では「国民負担を抑制する」ため、「価格乖離の大きな品目」を対象としている。そうであれば乖離金額が大きな品目を中心に改定すべきである。患者・国民負担の軽減に向けて薬価引下げは必要だが、後発医薬品を中心に大規模な供給不安が続く中、後発医薬品の大半が改定対象となり過度に薬価が引き下げられ、後発品メーカーの経営に支障を来し供給不安が更に拡大するような事態を招いては本末転倒である。合わせて、後発品メーカーが事業を安定継続し必要な設備投資ができるよう薬価を下支える改定ルールが精査・検討されるべきである。