オンライン資格確認原則導入義務化の撤回を求める

全国保険医団体連合会では、下記の要望書を厚労大臣に提出しました。PDFはこちら[PDF:164KB]

2022年9月22日

 

 

厚生労働大臣 加藤 勝信 殿

全国保険医団体連合会

会長 住江 憲勇

 

オンライン資格確認原則導入義務化の撤回を求める

 

オンライン資格確認原則導入義務化の政府方針に基づいて、8月10日開催の中医協総会で、医療機関等における2023年4月からのオンライン資格確認の導入の原則義務化について、具体的な方針案を了承し、厚労大臣に答申した。療養担当規則において紙レセプト請求以外の医療機関に電子資格確認(マイナンバーカードの保険証利用)の体制整備を義務付けるとともに、 診療報酬加算、補助金の内容を見直して体制整備を促進していく内容となっている。一方、対応困難な医療現場の実情を見据えて、年末頃に電子資格確認の導入状況を調査し、やむを得ない場合への必要な対応について検討する方針が付帯意見に盛り込まれた。

しかしそもそも社会保障としての保険医療を守る立場の厚労行政が義務化を持ち込み、療養担当規則への規定で罰則を示唆して、医療現場に不安と混乱を持ち込むなどあってはならない。さらに付帯意見で年末頃に対応を検討するとしているにもかかわらず、9月5日付で療養担当規則改定を官報告示したのは大変遺憾である。オンライン資格確認を運用開始した医療機関は8月14日時点で医科診療所は18%、歯科診療所は19%弱であり、システムの運用を開始していない診療所(紙レセプトは除く)は約12万件に上る。このような状況であとたった半年余りしかない中で実施を強行するのは無謀、無理筋であるばかりか、理不尽そのものである。

保団連の緊急会員調査(N 489 。9/6 時点)では、電子資格確認を運用開始した医療機関のうち3分の1強でトラブル発生が報告(複数回答可)されており、①データ上のトラブル、②機器関連のトラブルが多く、③患者とのトラブルが散見される。今後、マイナンバーカードの受診が広がっていくような場合、問題が顕在化していくことも考えられる。また導入医療機関からは導入後マイナンバーカードで受診する患者はほとんどいないため、今後への不安の声も多く寄せられている。

他方、電子資格確認を導入していない医療機関からは①導入の必要性が低い、②小規模零細などでシステム対応できないなどやむを得ない様々な事情が寄せられている。また、相次ぐ大規模な通信・システム障害、セキュリティ漏洩事案などから、導入・維持に係る費用負担やセキュリティ面等での不安の声も多く寄せられている。こうした不安・懸念などから、システムの導入・運用開始を躊躇する医療機関側の事情も十分に考慮されてしかるべきである。

以上のことから下記を強く要求する。

 

 

一、オンライン資格確認システム原則導入義務化を撤回すること