保団連は2割化抗議声明を発表しマスコミに送付しました。
政府は10月1日、75歳以上の医療費窓口負担2割化の実施を強行した。長引くコロナ禍に物価高騰が追い打ちをかけ、国民生活が困窮を極める中での負担増強行に強く抗議する。
この10月からも6500品目もの食品の一斉値上げが行われ、家計の負担増は食品の値上げだけで年間約7万円にものぼる。物価上昇の影響は高齢者世帯ほど大きいとの試算もあるうえ、4月からの2年連続の年金引き下げで収入の面でもマイナスの影響を受けている。多くの高齢者世帯の家計は、窓口負担2倍という過酷な負担増に耐えられる状況にはなく、受診抑制による健康悪化が強く懸念される。
政府は「配慮措置」で負担増は抑えられると説明しているが、3年間限定であるうえ、この措置によっても年平均2万6000円の負担増となる。また、複数医療機関への受診の場合、いったん窓口で2割の金額を支払わなくてはならず、受診抑制は避けられない。
日本高齢期運動連絡会の調査でも、2割化で約3割が「受診を控える」と回答している。また、私たちが高齢者団体などともに取り組んだ2割化中止を求める署名は累計で約200万筆寄せられ、「電気、ガス、水道代もかなりの金額。生活はギリギリ。2割負担は耐えられない」「物価が上がり年金も目減り。一人で懸命に生きる人間をこれ以上苦しめないで」など切実な声が寄せられた。
政府は現役世代の負担軽減を口実に2割化を強行したが、現役世代の保険料の軽減は月わずか30円である。現役世代と高齢者の対立・分断をあおり、社会保障制度を改悪するのではなく、すべての世代が安心して医療が受けられるように、むしろ医療費窓口負担を大幅に軽減すべきである。
早期受診、早期治療によって重症化を防ぐことは医療の根幹である。コロナで最も重症化しやすい高齢者からその機会を奪い、高齢者のいのちと健康を脅かす2割化を強行したことに、医師・歯科医師の団体として強く抗議する。ただちに予算措置をとり、「75歳以上の医療費窓口負担2割化」を中止・凍結するよう強く求める。
以上
2022年10月9日
全国保険医団体連合会
2022~2023年度第10回理事会