現行の健康保険証の存続を求めます

  2023年4月14日

  全国保険医団体連合会

会長 住江憲勇

 

現行の健康保険証の存続を求めます

 

4月14日の衆議院本会議において、現行の健康保険証を2024年秋で廃止し、マイナンバーカードに一本化することなどを含んだマイナンバー法等一部「改正」法案が審議入りしました。

保険者がすべての被保険者に被保険者証(健康保険証)を発行・交付することは公的医療保険制度の大前提であり、法令上も保険者には被保険者証の発行が義務付けられています。

 

「無保険扱い」となる人を生み出していいのか

マイナンバーカードもマイナンバーカードを持たない人等への代替措置の「資格確認書」も「申請主義」のため、健康保険証が廃止されると申請漏れ等により「無保険扱い」となる人が発生することは避けられません。要介護高齢者、在宅高齢患者など、制度からこぼれ落ちる患者・国民が生み出されることは明白です。国民の医療へのアクセスが妨げられる事態になります。

保険医療機関等が患者に医療を提供する際には、被保険者の資格確認が義務付けられています。誰しも突然のケガや病気によって受診が必要となる可能性があり、「無保険」の状態は本来あってはなりません。「発行・交付義務」から「申請主義」への転換は、「無保険扱い」の人を政策的に生み出すもので、被保険者(国民)に大きな不利益をもたらします。現行の健康保険証を存続すること、マイナンバー法等一部「改正」法案は徹底審議の上、廃案することを強く求めます。

 

高齢者施設の94%が「利用者・入所者のマイナンバーカードを管理できない」

さらに、健康保険証の廃止ありきで、代理交付・申請補助や第三者によるカード管理を進めるとされていますが、協力を求められる医療・介護現場には負担と責任が課せられ、人手不足にも拍車がかかります。当会が行った高齢者施設への影響調査では、特養など高齢者施設の94%が「利用者・入所者のマイナンバーカードを管理できない」と回答しました。このまま健康保険証の廃止が強行されれば、利用者・入所者は医療へのアクセスに困難を抱えることになり、現場は大混乱に陥ります。

 

廃止の矛盾明らか、保険証は全員に交付を

国は相次ぐ異論を受けて、健康保険証廃止の矛盾・問題を糊塗する弥縫策を逐次検討していますが、これまで同様、健康保険証は全員に交付した上で、マイナンバーカード利用は任意とすればよいだけのことです。

国民皆保険制度を守るため、あらためて現行の健康保険証の存続を強く求めるとともに、マイナンバー法等一部「改正」法案は徹底審議の上、廃案とすることを求めます。