コロナ公費負担医療は10月以降も継続を

内閣総理大臣 岸田 文雄 様

厚生労働大臣 武見 敬三 様

 

新型コロナ感染症等に対する医療体制の確保を求める要望書

 

2023年9月15日

全国保険医団体連合会

会長 住江 憲勇

 

国民の命と健康、暮らしを守るためのご尽力に敬意を表します。

政府は、5月8日から新型コロナウイルス感染症を5類に変更し、それまで実施してきた医療費の公費助成、コロナ病床への財政措置、診療報酬の特例措置等を縮小し、10月以降はさらに大幅に削減、2024年4月以降は原則廃止の方向であると報道されています。

しかし、1定点医療機関当たり感染者数は3週続けて増加し、8月28日~9月3日の報告では1定点20.5人となり、全国で10万人を超えています。9月6日現在の病床使用率は宮城、山形、栃木、神奈川、兵庫、福岡で5割を超える「医療負荷増大期」に入り、他の都道府県も5割に近づき、このままでは「医療機能不全期」に陥ることは明白です。

変異を続ける新型コロナウイルスは、感染力が非常に高く過去に罹患していても免疫獲得が困難で、感染の波が押し寄せるたびに高齢者や基礎疾患を有する方を中心に重症者数・死亡者数が大きく増加します。新型コロナウイルスに罹患した方の一部には長期間にわたる後遺症に苦しんでいる方もいます。

従って、基礎疾患に対する歯科を含めた通常の医療がしっかりと受けられること、コロナに罹患した場合は早期に発見し、コロナ及び後遺症に関する治療がしっかりと受けられる体制をつくることが何よりも重要です。当会は、国民の命と健康に責任を持つ保険医・歯科保険医の立場から、政府が次の対策を早急に取られるよう強く求めるものです。

 

 

一.新型コロナウイルス感染症の検査・治療に対する公費負担を復活すること。少なくとも9月までとされている治療薬の公費負担及び高額療養費制度の自己負担限度額減額措置を10月以降も継続すること。
一.コロナ病床への財政措置を5類移行前に戻し、継続すること。診療報酬特例措置を継続すること。
一.新型コロナウイルスワクチンは、2024年度以降も特例臨時接種を継続し、接種後の健康被害の調査・研究、補償の充実、治療方法の確立を図ること。
一.新型コロナウイルス後遺症(Long-COVID)に対する調査・研究、著しい症状を来す患者への公費負担の適用、治療方法の確立を図ること。
一.政府として感染状況をリアルタイムで把握し、科学的知見に基づく感染症対策の継続及び国民等への周知を図ること。
一.感染対策を強化するためにも、2024年の医科・歯科診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス費改定では、大幅な報酬引き上げを実施すること。
一.窓口負担・利用者負担拡大をやめること。低所得者に対する負担軽減を強化すること。