診療報酬・介護報酬の大幅引き上げを

 

 

2024年改定で診療報酬・介護報酬の大幅引き上げを求める

 

新型コロナ感染症による医療・介護現場への負担は未だに大きく、収束が見えないにもかかわらず、診療報酬特例やコロナ病床への財政措置が縮小された。加えて諸物価の高騰が続く中、職員の処遇改善、サイバーセキュリティ対策、2024年度から開始される「医師の働き方改革」への対応など、入院医療をめぐる情勢はさらに一層厳しさを増している。

こうした状況を改善するためには、何よりも診療報酬・介護報酬の大幅引き上げ、財政措置の拡充、医療・介護従事者養成に対する国の取り組みの強化が不可欠である。

財源はある。2022年度の金融と保険を除いた国内企業の内部留保は前年度より7.4%増の554兆7777億円で11年連続過去最高となった。資本金10億円以上の大企業に絞った場合、2022年度の内部留保は511兆円を超え、前年度末に比べて27.1兆円も増加している。

賃金や雇用体系を改善し、諸外国と比べて低い社会保障に対する事業主負担を引き上げるなど、大企業の内部留保を社会に還元させ、高薬価を是正すれば、診療報酬・介護報酬を引き上げ、患者負担を軽減することが可能であり、雇用と生活、社会保障を守ることができる。また、社会保障への支出は、社会保障を受ける人を支え、雇用を確保し、日本経済を押し上げる効果を有する。政府の役割は、国民の命と健康、暮らしを守ることである。私たちは、国民の命と健康を守る立場から、次の事項の実現を強く求めるものである。

 

 

一.2024年改定では、診療報酬・介護報酬の基本診療料を大幅に引き上げること。特に有床診療所の役割を評価し、有床診療所の入院基本料を大幅に引き上げること。

一.コロナ病床への財政措置を5類移行前に戻し、継続すること。診療報酬や施設基準のコロナ特例、コロナ治療薬の公費負担及び入院の高額療養費上限額緩和措置を9月までの取扱いに戻し、継続すること。

一.光熱水費の高騰や食材料費の値上げに対して、国として医療機関・介護事業所等に財政措置を講じること。

一.2024年3月までとされている介護療養型医療施設が、4月以降もその有する能力を発揮できるよう、特段の対策を行うこと。療養病床経過措置基準を継続すること。

一.全ての医療機関が無理なく医師の働き方改革が実現できるよう、医師養成の強化をはじめとした必要な対策・財政措置等を国の責任で実施すること。

一.サイバーセキュリティ対策への財政措置、支援を講じること。

一.地域状況を勘案しない病床再編・削減をやめること。

一.健康保険証廃止方針を撤回すること。

2023年10月1日 第40回病院・有床診療所セミナー