「ALPS処理水」の第2回目の海洋投棄に抗議

内閣総理大臣 岸田 文雄 様

経済産業大臣 西村 康稔 様

 

東京電力福島第一原発事故由来の「ALPS処理水」の第2回目の海洋投棄に抗議するとともに直ちに中止し、汚染水の増加防止政策の早急な具体化を要求する

2023年10月6日

全国保険医団体連合会

公害環境対策部

部長 野本哲夫

岸田政権は8月24日に続き、10月5日に2回目の東京電力福島第一原発事故で発生した「ALPS処理水」の海洋投棄を強行した。前回の海洋投棄で大きな批判が起きたことを忘れたかのように、漁協関係者など地元住民への追加説明や納得を得ることもせず、また、国内外の“「ALPS処理水」海洋放出”への反対や不安、懸念を払拭する努力も不十分なまま、追加の海洋投棄を強行したことは民意に背く蛮行であり、我々は強く抗議する。そもそも「ALPS処理水」の処分については、政府と東電が2015年8月に、全魚連、福島県漁連らに自ら提出した文書に明記した「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします」との約束を反故にする言語道断の蛮行である。前回の海洋投棄強行以来、国内外から厳しく指弾する声が上がっており、漁業関係者、各種生産者、観光業者ほか多くの人々に様々な影響を与え、海産物等の輸出は販売に巨額の被害が発生した。これらは、国民の声を一切聞き入れず、専門家らの各種提案にも耳を貸さず、海洋投棄ありきで進んだ政府の怠慢により生じた問題で政府の重大な失態である。それらに何ら反省することなく「海洋放出」と称して海洋投棄を強行したことは断じて許されない。我々は、政府に対して海洋投棄を直ちに中止するよう強く要求する。政府のALPS処理水」海洋放出について、全国漁業協同組合連合会を初め、農林水産業、消費者団体、地域住民は、一貫して反対し続けている。福島県の漁業関係者は、本格操業になんとかこぎつけたのに、壊滅的な打撃を被っており、損害賠償と将来補償、海、漁業を続けられる未来を返してほしいと願っている。近隣の各県漁連からも同様の声が上がっている。生業を保証し、将来への不安を払拭するとともに、根本原因を除去するために全力を挙げて取り組むことこそ政府の責任である。政府は、今回の「ALPS処理水」強行排出を中止するだけでなく、「ALPS処理水」の処分に関する従来の方針を撤回し、海洋投棄ではなく、専門家らが提案している汚染水の増加防止対策を早急に講じ、地上保管・貯留を継続すること、放射性物質のより安全な保存方法、汚染水等の処理方法に伴う新しい技術開発を急ぐよう要求する。本会は、国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として、福島第一原発事故で発生した「ALPS処理水」の海洋投棄に断固抗議し、即時中止を求めるとともに、早急に汚染水の建屋への流入原因の追求と、これ以上の処理水の増加を防止し、貯留・保管方法を徹底するとともに、海産物等への実害拡大防止に全力を挙げるよう強く要求する。