【主張】医療界のジェンダー平等へ、 指導層の意識・構造改革を

 衆議院の女性議員割合は9・9%(46人)でOECD諸国の中でも最下位だ。1946年4月10日、女性参政権が初めて行使され当選した衆院女性議員は39人で8・4%。77年間ほとんど変わっていません。2023年の「ジェンダーギャップ・レポート」の男女平等度ランキングで、日本は146カ国中125位。昨年の116位からさらに順位を落としたのもうなずけます。
保団連女性部は発足当初から「女性が働きやすい職場は、男性にとっても働きやすいはずだ」を合言葉に活動を続けている。講演会・学習会を重ねながら、各病院施設においてはフレキシブル勤務、院内託児所の整備や複数医師主治医制度などによって改善策を模索されていることも分かってきた。若い世代の医師たちのジェンダー意識は少しずつ変化し、選択診療科の男女による偏在も緩和されてきています。しかし、真のジェンダー平等を実現するためには、指導層の意識改革と構造改革が重要であることがはっきりしてきました。

医療界のジェンダーバイアスは今も

 今年7月、北海道・函館で開催された日本消化器外科学会第78回総会で「函館宣言」が発表された。外科医の志望者は年々減少していますが、女性外科医は徐々に増加しています。一方で女性外科医の離職率は高く、管理職は極めて少ないです。その理由を解明すべく、5年間にNCD登録された全外科手術について、男女の執刀機会と短期成績を分析した結果、女性は執刀機会が少なく、難易度の高い術式でその傾向が強かった。手技を磨き、経験実績を積まなければ昇進できません。経験を積むための手術の配分は上司の管理職(多くが男性)が行います。そこにジェンダーバイアスがありました。女性医師は構造的差別のもとで、昇進を阻まれていたのです。「函館宣言」では、32年までに中難度、高難度の手術を男女均等にすることを目標とし、学会として定期的に実態調査を行うことも決めました。この宣言に至るまでの苦労は大変なものだったと思う。政界が77年間変わらなかったように、こうまでしなければ、現場の構造的差別を改善できません。
私たち医師・歯科医師がそれぞれの幸せを求めて生き生きと働きたいと思うのは当たり前のことではないでしょうか。生き方は多種多様だが、法の下の平等が保障されてこそ。まだ先は長いが、諦めず声を上げましょう。