2025年9月16日
内閣総理大臣 石破 茂殿
厚生労働大臣 福岡資麿殿
財務大臣 加藤勝信殿
全国保険医団体連合会会長 竹田智雄
地域医療を守るため診療報酬の即時改定等を求める要請書
現在、1年で3%を超える急激な物価高騰によって、医療機関の経営の安定化や医療従事者の賃上げによる生活保障と人材確保、これらを前提とした地域医療提供に多大な困難が生じている。
診療所の倒産が過去最多 物価高騰を診療報酬が補填できていない
帝国データバンクの調査によると、2024年の医療機関の倒産は64件で過去最多を更新した。業態別には病院6件、診療所31件、歯科医院27件となり、診療所と歯科医院が過去最多となり全体を押し上げた。材料費や設備機器費の増大、人材確保・維持のための賃上げの支出増加などが事業環境を悪化させたと指摘している。
本会が2月に実施した調査でも、光熱費・材料費の高騰分や人件費を診療報酬改定で「補填できていない」と答えた医療機関は90%を超えている。
医療従事者の賃上げ率は平均の半分以下 人材流出に拍車
医療従事者の賃上げについて、「2年間で4.5%」を目指した政府の目玉政策ベースアップ評価料届出医療機関における賃上げ率は2024年度、25年度の2年間で計3.4%という結果が8月21日の中医協で報告された。政府目標を1%以上下回ったばかりか、同期間の全産業平均7.4%(24年度3.56%、25年度3.70%。定昇除く)の半分にも達していない。この状況が放置されれば、他産業との賃金格差が拡大するばかりである。深刻化している看護師などの人材流出に拍車が掛かることも避けられない。
また、今年度は最低賃金引き上げ6.0%、人事院勧告3.6%など賃上げに関する指標が高水準で示されている。最低賃金はベースアップ評価料の対象として含まれない医療従事者に大きく影響する。ベースアップ評価料の改善は必要だが、それだけで医療従事者の賃上げを社会的に求められる水準で達成することは困難だ。基本診療料の引き上げが不可欠だ。
医療提供を継続できない 迅速対応を
急激に進展する物価高騰や10月の最賃改定など、現在の状況は、2年に1度の診療報酬改定では対応が追い着かないのが実態だ。報道によると経営的な問題で医師や職員に2カ月連続で給与が支払えない病院が出始めている。迅速な対応がとられなければ、地域の医療提供を継続できない状況である。本会は地域医療の存続のため、下記の事項を要求する。
記
医療従事者に一般産業並みの賃上げを確保し、物価高騰の中で医療提供が継続できるよう、即時の診療報酬改定や補助金による財政措置等を実施し、医療機関を危機から救うこと。