【要望書】「75歳以上医療費窓口負担2割化」の「配慮措置」継続を求めます

2025年9月20日

厚生労働大臣 福岡資麿 殿

2025年9月16日

全国保険医団体連合会

会長 竹田智雄

 

「75歳以上医療費窓口負担2割化」の「配慮措置」継続を求めます

 

2022年10月1日、国は75歳以上の医療費窓口負担2割化の実施を強行しました。2025年9月末までは、「経過措置」として外来負担増を月3千円以内に抑える「配慮措置」が行われています。

2割負担導入の際の厚労省の資料によれば、「配慮措置」の対象は、2割負担の外来患者の約8割(約310万人)に該当するとされており、「配慮措置」が無くなれば「関節症」および「高血圧性疾患」、「脳血管疾患」など「長期にわたり頻繁に受診が必要な患者」のモデルケースで年5000~35000円の負担増となります。

2023年9月に厚労省が審議会に示した影響調査では、2割負担が導入された2022年10月以降、2割負担の人の受診日数(月)は大きく落ち込み、1割負担の人の受診日数(月)よりも低位で推移していました。「配慮措置」のもとでも2割負担によって受診控えが生じている事は明らかです。厚労省は、「影響は想定の範囲」と説明していますが、そもそも受診控えを前提にしていること自体、医療の必要性が増す高齢者のいのちや健康を軽視していると言わざるを得ません。

加えて、2024年度平均の消費者物価指数(2020年=100、生鮮食品を除く)は107.9(前年度比2.5%上昇)と2022年度以降3年連続で2%以上上昇し、2025年に入ってからもその状況は続いています。長期化する物価高騰、年金の実質的な引き下げ、医療・介護の保険料や患者・利用者負担増も重くのしかかっています。高齢者の生活は、2割負担導入当初よりも確実に厳しさが増しています。この上さらに「配慮措置」が終了となれば、長期に受診が必要な高齢者の窓口負担が大幅に増加し、受診控えによる健康悪化が強く懸念されます。

高齢者の生活困難やすでに生じている受診控えの実態をふまえ、ただちに2割負担を1割負担に戻すこと、少なくとも「配慮措置」を継続すること、「窓口負担割合の見直しが後期高齢者の受診に与える影響を把握する」とした国会付帯決議(参院厚労委員会、2021年6月)も踏まえ、「配慮措置」を終了する前にその影響を検証することを求めます。

 

ただちに2割負担を1割負担に戻すこと

少なくとも「配慮措置」を継続すること

「配慮措置」を終了する前にその影響調査をすること