第42回病院・有床診療所セミナー決議

2025年10月1日

保団連では、9/27・28に開催した2025年度保団連第42回病院・有床診セミナーにて、添付の通り決議を採択し、総理、厚労大臣宛に送付しました。
決議[PDF:162KB]

医療機関等への緊急財政措置と診療報酬等の大幅引き上げ、
現場の実情に沿った地域医療構想を求める

政府の新型コロナ感染症対策の終了以降も、医療現場では引き続き感染対策のために多くの資源を投入しなければならないにも関わらず、補助金や特例措置が打ち切られ、これに異常な物価高騰が重なり、医療機関・介護事業所の経営は深刻な悪化となっている。
政府は打開策として賃上げ対応策を行ったというが、2024年度診療報酬・介護報酬改定では全く足りず、新設されたベースアップ評価料でも外来・在宅で1.2%、入院で2.3%しかなく、他産業の平均賃上げ率(約5%)からは大きくかけ離れている。また、総枠は拡大されなかったため、経営そのものに深刻な影響を与えている。
政府の役割は、国民の命と健康を守ることである。そのためには医療機関や介護事業所の経営と、そこで働く医療従事者・介護従事者の生活が守られ、必要な医療・介護サービスが提供できるよう、診療報酬・介護報酬を大幅に引き上げる必要がある。
一方、国庫負担が低く抑えられている為、医療保険も介護保険も保険料が引き上げられ、「保険料を支払ったら生活できない」「医療や介護を受けられない」との声が広がっている。さらなる患者負担増も検討されており、このままでは、患者・国民のいのち・健康を守ることができなくなる。
自民、公明、維新の三党合意では、11万床の病床削減やOTC類似薬の保険外しなど、医療費の大幅な削減を目論んでいる。特に病床削減では必要な病床数を精査せずに、使われていない病床を一律に切り捨てようという観点ですすめようとしている。実際には使われていないのではなく、医療機関として人員基準を確保できないという現場の実態を確認し、健全な医療経営状態となるよう診療報酬の引き上げや医療提供体制を整えるべきである。
本来の地域医療構想の目的は、住み慣れた地域で最期まで安心してすごせる医療提供体制を確保することであり、病床・病院の削減、医療費抑制ありきであってはならない。特に「中山間地域・離島等の医療過疎地域を含む地域」においても、30分圏域に少なくとも1か所、一般的な病気やけがで入院治療ができる地域の実情に応じた「医師が充足した命を守る病院」が必須である。
私たちは、国民の命と健康を守る立場から、次の事項の実現を強く求めるものである。

一、物価高騰や人件費の引き上げに対応するため、期中改定を実施し、入院時食事療養等を含む診療報酬、介護報酬等を大幅に引き上げるとともに、緊急財政措置を行うこと。
一、地域状況を勘案しない病院統廃合をやめ、新たな感染症対策にも対応できるよう、平時から余力を持てるよう、人員、資金両面での医療・介護経営を確保すること。
一、国庫負担を増やし、国保や後期高齢者医療、介護保険の保険料を引き下げるとともに、患者負担・利用者負担増計画を止めること。
一、マイナ保険証一本化を止め、従来の健康保険証を存続させること。

全国保険医団体連合会
2025年9月28日 第42回病院・有床診療所セミナー決議