【決議】2022年度 保団連地域医療活動交流集会決議

全国保険医団体連合会では、2022年11月27日に地域医療活動交流集会を開催し、以下の決議を採択し、マスコミ各社に送付しました。PDFはこちら[PDF:155KB]

オンライン資格確認義務化・保険証廃止の撤回、医療・介護の拡充を求める決議

政府が6月7日に閣議決定した「骨太の方針2022」では、「2023年4月からオンライン資格確認のシステム導入の原則義務化」、「保険証の原則廃止」を明記。10月13日には河野デジタル大臣が2024年秋に「保険証廃止」を目指すと記者発表した。
オンライン資格確認について保団連には、各地の医師・歯科医師から「情報漏洩やセキュリティ対策が不安だ」、「カルテやレセコンの改修で、多額の費用が発生する」等の指摘や、実際に使った医療機関からはトラブル発生の報告が多く寄せられている。
さらに「原則義務化が実施されれば廃院するしかない」との悲痛な声も寄せられており、原則義務化は患者・国民から医療へのアクセスを政府が強引に奪う行為である。
保険証を廃止してマイナンバーカードに切り替えると言うが、マイナンバーカードについて日本弁護士連合会は、「住基カード等に比べて、プライバシー保護の観点が著しく後退」、「あらゆる個人情報の国家による一元管理を可能とする制度となり、監視社会化をもたらす」(2021年5月7日)と指摘。2022年9月27日には、「マイナンバーカードをマイナ保険証とする今般の一連の政策について、反対」との会長声明を出している。
また、10月から75歳以上の窓口負担2割化が強行された。「配慮措置」が講じられたものの1人当たり年平均2万6千円もの負担増となり、2025年10月からは「配慮措置」すらなくなる。これでは受診抑制が広がり、必要な医療の提供が困難になってしまう。
一方、来年は2024年に施行される医療法・介護保険法、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬、第4期医療費適正化計画・第9期介護保険事業計画の見直しに向けた議論が各種審議会や国会及び自治体で行われる。
介護保険法については10月31日に見直しの論点が出されたが、そのほとんどが利用者負担増であり、これらが実施されれば医科・歯科医療の受診抑制が更に増加する。
更に、医療の現場でも介護の現場でも、コロナ感染対策の一層の強化や、従事者の抜本的な処遇改善の実施のための原資の確保が求められ、医師の働き方改革への対応も重要だ。
新型コロナウイルス感染症によって医療がひっ迫し、医療制度の脆弱性が浮き彫りとなっている。その原因の大本には、長年にわたる政府の医療費抑制、病床削減、医師養成数の制限、保健所機能の縮小政策にある。
私たちは、国民の命と健康を守る立場から、次の事項の実現を強く求めるものである。

一、オンライン資格確認原則義務化と保険証廃止を撤回すること。
一、75歳以上の窓口負担2割化を中止し、窓口負担を大幅に軽減すること。
一、介護保険の国庫負担を大幅に引き上げ、利用者負担増とサービス削減を中止すること。
一、地域状況を勘案しない病床再編・削減をやめること。
一、新型コロナ感染症対策の基本であるワクチン接種を含めた感染対策、検査、治療については、引き続き政府の責任と負担により実施すること。保健所機能を強化すること。
一、診療報酬・介護報酬を大幅に引き上げ、医療・介護の充実及び処遇改善が図れるようにすること。