第2回代議員会決議(第50回大会期)

全国保険医団体連合会では、第50回大会期第2回代議員会にて下記の通り決議を採択し、マスコミ各社に送付いたしました。[PDF:186KB]

国民の命、健康、暮らしを守り医療・社会保障の充実を求める

 

4年目を迎えるコロナ禍や1年に及ぶロシアのウクライナ侵攻、新自由主義政策の下での異次元の金融緩和政策による異常円安と物価高騰、実質賃金の低下や家計消費の低迷など国民生活は困窮を極めている。岸田政権は、国民生活の困難打開やコロナ禍で露呈した新自由主義政策の根本転換、医療・社会保障政策の充実に踏み出さないばかりか、75歳以上医療費窓口負担2割化に続き、後期高齢者の4割を狙い撃ちにした保険料引き上げ、介護保険の利用者負担、給付削減などさらなる負担増・給付削減を迫っている。

2023年度予算では、薬価引き下げ等で医療・社会保障費自然増を4100億円に抑制する一方で、敵基地攻撃能力の保有を盛り込んだ安保3文書を改定し、岸田政権が歳出削減や増税などで総額43兆円の防衛費財源を確保する方針を決定した。専守防衛を逸脱する戦後日本の外交・防衛政策の大転換とも言うべき事項を国会審議や国政選挙の付託を受けることなく、一方的に閣議決定したことは重大である。

さらに、岸田政権は、昨年10月、2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、患者・国民には、マイナカード取得を事実上強制する方針を示すとともに、すべての医療機関にマイナ保険証を利用できるオンライン資格確認システムの整備を義務化した。昨年12月23日の中医協で答申された経過措置は保険証廃止やシステム整備を前提に猶予対象も期間も限定したものであり、導入困難な医療機関の実態を配慮したものとは言えない。

私たち医師・歯科医師は国民のいのちと健康を守り、医療・社会保障の充実、地域医療体制の確立、平和で不安なく暮らせる社会を築くため、下記項目の実現に向けて引き続き全力で奮闘する。。

一、 オンライン資格確認義務化、現行の健康保険証廃止方針を撤回すること。オンライン資格確認義務化の経過措置を抜本的に改善すること。
一、 新自由主義政策に基づく経済・財政政策のゆがみを是正し、応能負担の強化で大企業の内部留保を社会的に還元させること。
一、 憲法違反の敵基地攻撃能力を含む安保3文書は撤回し、防衛費の大幅増額を中止すること。
一、 75歳以上の医療費窓口負担を1割に戻し、保険料引き上げを中止すること。
一、 介護保険の利用者負担増、給付削減は中止すること。
一、 新型コロナの克服に向け、平時から余力のある公衆衛生行政、医療提供体制を確保すること。
一、 消費税をただちに5%に減税すること。インボイス制度は中止すること。
一、 医薬品の供給不安定の解消に向け、国は直ちに抜本的な対策を講じること。
一、 歯科材料の金パラ「逆ザヤ」を抜本的に解消すること。
一、 再生可能エネルギーを推進し、原発の再稼働、新増設、稼働期間の延長は中止すること。
一、 沖縄・普天間基地は無条件撤去し、辺野古への新基地建設を直ちに中止すること。

以上決議する。

2023年1月29日2022~2023年度第2回全国保険医団体連合会代議員会

全国保険医団体連合会では、医療ISAC協力に協力して実施した緊急調査を踏まえ、下記の要望書を総理、厚労大臣及びマスコミ各社に提出しました。[PDF:359KB]

2023年2月13日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

【要望書】政府・厚生労働省としてセキュリティ対策の強化を求める

 

前略 国民医療の確保に関するご尽力に敬意を表します。
さて、昨今、複数の病院・診療所で電子カルテ等のシステムがランサムウェアに感染し、診療に大きな影響が発生しました。
医療機関のサイバーセキュリティは、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が指定する重要インフラに位置付けられ、一般的なセキュリティ以上の対策が求められています。
2022年4月診療報酬改定では、診療録管理体制加算の施設基準において、許可病床数400床以上の病院に専任の医療情報システム安全管理責任者の配置と職員研修等を義務付けましたが、診療報酬上の加算評価はありません。
このような中で、全国保険医団体連合会では医療ISACが実施する「FortiNet社製VPN装置の導入実態に関する緊急調査」に協力し、協会・医会の会員897医療機関(病院264、医科診療所427、歯科診療所206)から回答頂きました。
院内システムにリモートメンテナンス環境を導入している医療機関は全体の7割に達していますが、院内でどのようなリモートメンテナンス機器が利用されているかについて正確に把握している医療機関はそのうち3割程度であることが判明した。
昨年10月に深刻な脆弱性の報告のあったFortinet社製品か否かを問わず、リモートメンテナンス用機器には外部からの悪意あるアクセスを可能にしかねない脆弱性が継続的に発生していることから、適時の対応が求められます。
また、ベンダーとセキュリティ対応を含めた契約上の役割・責任を定めた契約を取り交わしている医療機関は全体の1割強にとどまりました。医療機関はベンダーとの間で明確なセキュリティも含めた契約関係を合意し、協力を仰げる態勢を整備することが重要です。
また、医療機関が安全管理措置を講じるためのサポート役として、医療機関と同じ目線に立ち、ベンダーが医療セキュリティの改善に向けたリスクコミュニケーションの工夫を凝らすとともに、医療機関側のセキュリティリテラシーの向上も重要課題の一つです。
現在の診療報酬はこうしたセキュリティ対策に必要な費用を全く評価していませんが、そもそもこうしたセキュリティ対策は患者負担を伴う診療報酬で評価すべきではなく、公的資金を投入して実施すべきです。
医療機関は、国民の命と健康を守る砦です。またサイバー攻撃は、病床の大きさや医療機関の種別を選ぶとは限らず、医科・歯科ともセキュリティ対策の強化が必要です。
国におかれては、セキュリティ対策の重要性に鑑み、公的補助金を創設し、診療の継続性・安全性を担保していただけますよう、強く要望いたします。

一、 政府・厚生労働省として、セキュリティ対策の一層の強化を図ること。
一、 政府・厚生労働省は、公的・民間を問わず全ての医療機関等がサイバーセキュリティ対策を講じられるよう、公的補助金を創設すること。
一、 医療機関等のサイバーセキュリティ対策を担う会社の質が確保できるよう、行政として必要な対策を行うこと。
一、 サイバーセキュリティについて厚生労働省で進めている「情報システムの安全管理に関するガイドライン」(第6版)については、わかりやすく表現し、医療現場の対応が進みやすくなるよう改善すること。。
一、 サイバー攻撃を受け、電子カルテや診療報酬請求システム等が損害を受けた場合は、概算請求を認めること。また、データ提出加算を含めた施設基準要件についても特例的な対応を行い、要件を満たすものとすること。

以上