【談話】日本学術会議への度重なる政治介入は許されない

全国保険医団体連合会では、政府の日本学術会議法改正法案に対し、下記の談話をマスコミ各社に送付しました。

2023年3月30日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

【談話】日本学術会議への度重なる政治介入は許されない

 

 日本学術会議法改正法案は学術会議への政治介入を法制化しようとしている。改正案では第3者でつくる「選考諮問委員会」が設置される。内閣府が自民党の会合で示した資料によると、会員候補の選考過程について学術会議に説明を求める権限を持たせ、学術会議は委員会の意見を「尊重しなければならない」と定めている。これらの介入は、昨年12月の安保三文書の改定などにみられる安全保障政策の大転換とリンクしていると考えられる。

 そもそも日本学術会議は、第二次世界大戦に科学が協力したことの反省の上に、「独立して職務を行う」(日本学術会議法第3条)と規定している。そうした歴史をふまえて、この間、政府案に反対する声明が、日本学術会議(2022年12月21日)、日本医学学会連合(同12月23日)から相次いで発表されている。

 また、今年2月14日には、学術会議歴代会長5人が、岸田文雄首相に対して「根本的に再考することを願う」などとする声明を連名で発表。さらに2月22日には、2000年以降のノーベル賞受賞者ら8人も「性急な法改正を再考し、学術会議との議論の場を重ねることを強く希望する」とする声明を出すなど、多数の学会、識者から反対・懸念・再考の声が寄せられている。

 また、日本学術会議の改正法案と併せて、2月22日、経済安全保障推進法と国家安全保障戦略を進めるため、内閣官房に「経済安全保障分野におけるセキュリティクリアランス制度等に関する有識者会議」が設置された。

 セキュリティクリアランス(適性評価制度)は、国家における情報保全措置のことで、①政府が保有する安全保障上の重要な情報を指定する、②この情報にアクセスする必要あるものに対しては政府による調査を行い、当該者の信頼性を確認の上でアクセス権を付与する、③情報管理ルールに違反した場合は罰則を科す方向が示されている。バイオテロも念頭に追跡対象としており、感染症をはじめとして医学領域が含まれることは必至といえる。

 セキュリティクリアランスを通じて、プライバシー・学問の自由の侵害、深刻な人権侵害が生じかねず、政府に対して批判的な声を封じ込める役割を果たしかねない。国による学術研究の管理は「自主・民主・公開」の原則を毀損しかねず、科学や学問への国家や政治の介入には併せて警鐘をならしていかねばならない。

 私たちは、医療に携わる科学者として科学の独立性と学問の自由を骨抜きにする政府の日本学術会議法改正法案に反対するものである。国会への法案提出をやめるべきである。

以上