【要請書】電力料金等の物価高騰に対する医療機関への財政措置の実施を

全国保険医団体連合会では、諸物価の高騰が医療機関にも大きな影響を及ぼしている情勢を踏まえ、下記の要請書を総理、財務大臣、厚労大臣に提出しました。

2023年5月31日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

電力料金等の物価高騰に対する医療機関への財政措置の実施を

 

 貴職におかれましては、国民の生命と暮らしを守るため、日夜国政の重責を果たされていることに心より敬意を表します。

 本会は医師・歯科医師10万7千人で構成する全国の保険医協会・保険医会の連合会です。

 諸物価の高騰が、医療機関にも大きな影響を及ぼしています。

 当会が3月から4月にかけて実施した調査では、昨年同時期と比べ95%近くの医療機関が、電力料金が「上がった」と回答。そのうち71%は、値上がり幅「1割以上」となっています。このほかにも、ガス・灯油やガソリン、食材料費、医療資材、備品・消耗品など全般的な物価高騰に直面し、「経営の危機」「廃業を考える」といった声も寄せられています。

 この間政府においても、構造的な賃上げを最重要課題に位置付けています。ところが、公定価格である診療報酬が低く据え置かれている中での経費増により、医療機関は医療スタッフ、事務スタッフの賃金を引き上げたくても、引き上げられない状況にあります。これは一医療機関のスタッフ確保に止まらず、地域医療の存続にも影響を及ぼす事態です。

 医療機関に対する財政措置や診療報酬の特例があったことや、「歳出改革」の必要性などから、診療報酬の抑制に向けた議論もあります。しかし、諸物価の高騰が今後も続くことが予想される中、新型コロナ感染症への対応による経費増や患者さんの受診控えによる収入減、この診療報酬のマイナス改定などで、地域医療を支える医療機関の経営基盤は脆弱です。診療報酬は引上げ以外にあり得ません。

 この間、多くの自治体では、国の地方創生臨時交付金を活用した医療機関への支援金、助成金が措置されましたが、自治体によって対象となる医療機関や支給額に開きがあり、地域格差が生まれています。

 このたびの急激な諸物価高騰への対応として、一時的、限定的な補助には限界がある上、医療機関が継続して十分な医療提供をしていくためには、公定価格である診療報酬での手当など抜本的な財政措置が緊急に必要です。

 医療機関経営と地域医療を守るため、下記の実現を強く要望するものです。

以上

一、 臨時改定を含めた診療報酬の大幅引き上げ等、全国すべての医療機関を対象にした国による財政措置を実施すること
一、 地方創生臨時交付金を増額し、すべての医療機関が十分な補助を簡易な手続きで受けられるよう、条件を整備すること