【決議】防衛費倍増は中止し、医療・社会保障の充実を求める
3年目を迎えた岸田政権は、入管法改正法や防衛財源確保法、原発回帰を推し進めるGX推進法、さらには尊厳保障には逆行するLGBT法の成立など、人権と民主主義、平和主義を掲げる日本国憲法を形骸化する政治を続けている。広島サミットでは、岸田首相は、発効済みの核兵器禁止条約には一切触れず、核廃絶も棚上げにして、G7メンバーの核保有と核の傘を正当化するメッセージを打ち出した。被爆者や原爆犠牲者を冒涜するものであり、到底容認しえないものである。
健康保険証廃止を盛り込んだマイナンバー制度関連法では、システムの根幹に関る深刻な事態が次々と明らかになるにも関わらず、岸田政権は法案採決を強行した。オンライン資格確認整備対応を医療現場に丸投げして、地域で長年貢献してきた医療機関を閉院に追い込んだ上、マイナンバーカードを管理できないなど弱い立場にある者を切り捨てる健康保険証廃止など断じて認められるものではない。
先に閣議決定した「骨太の方針2023」では、防衛費の倍増路線を継続するとともに、大企業に税金を注ぎ込む「新しい資本主義」の実現を全面に押し出し、金融資産家への優遇税制も不問に付す一方、国民には資産運用で生活設計し老後に備えるよう求めている。「全世代型社会保障改革」を謳うが、「少子化対策」「応能負担」を口実に高齢者に手当たり次第に負担増を強いる一方、「少子化対策」は現役世代への負担増と引き換えであり、「応能負担」も実態は中低所得者の負担増である。医療アクセスを悪化させる地域医療構想は推進した上、疲弊する医療現場に対しては、異常な物価高騰の中にも関わらず診療報酬等を引き上げるとも明記していない。あまつさえ、地域を支える中小事業者にインボイス制度を強制して破綻に追い込もうとしている。
20世紀の教訓を引くまでもなく、周辺国との際限なき軍拡競争を招く防衛費倍増を進め、弱者を虐げ患者・国民の生活を切り詰め、地域の生業を破綻に追い込むような政治に未来はない。私たち医師・歯科医師は、患者・国民を主人公に据えた平和で安心して暮らせる社会の実現を目指して、下記項目の実現に向けて全力で取り組むものである。
記
一、現行の健康保険証を存続させること。オンライン請求の実質義務化方針について撤回すること。
一、物価高騰など踏まえ、診療報酬・介護報酬・障害者福祉等サービス報酬を抜本的に引き上げること。
一、歯科材料の金パラ「逆ザヤ」を抜本的に解消すること。
一、憲法9条違反の敵基地攻撃能力を含む安保3文書は撤回し、防衛費の大幅増額を中止すること。
一、医療・介護スタッフの抜本的増員を進め、平時から余力ある医療・介護提供体制を確保すること。
一、介護保険の利用者負担増、給付削減は中止すること。
一、75歳以上の医療費窓口負担を1割に戻し、保険料引き上げを中止すること。
一.消費税をただちに5%に減税すること。インボイス制度は中止すること。
一、GX推進法は中止すること。再生可能エネルギーを推進し、原発の再稼働、新増設、稼働期間の延長は中止すること。
一、政府は、非人道的な核兵器は国際法違反と宣言し、核兵器禁止条約を批准すること。
一、沖縄・普天間基地は無条件撤去し、辺野古への新基地建設を直ちに中止すること。
以上決議する
2023年6月25日
2022~2023年度第3回 全国保険医団体連合会・代議員会