医薬品の供給不安定を招く薬価中間年改定の廃止等を求める要請書

内閣総理大臣 岸田文雄 様
財務大臣 鈴木俊一 様
厚生労働大臣 武見敬三 様

医薬品の供給不安定を招く薬価中間年改定の廃止等を求める要請書

2024 年8月5日
全国保険医団体連合会
社保審査対策部・医科部長 武田浩一
社保審査対策部・歯科部長 新井良一

後発品を中心とした医薬品の供給不足は3年以上におよび、現在も解決の目途が立っているとは言い難い。本来、製薬メーカーが医薬品の品質確保・安定供給に責任を負うことは前提だが、問題が長期化している背景には、後発品中心の薬価引き下げによる政府の医療費削減策等が後発品の不採算を加速させ、安定供給の土台を切り崩してきたことも大きく影響している。
7月末には2025 年度予算の概算要求基準が閣議決定され、これに先立って中医協・薬価専門部会では2025 年度薬価改定(中間年改定)に向けた議論が始まっている。薬価改定は予算編成において重要な論点となるが、これまで医療費削減の中心になっていた後発品薬価を圧縮する余地が縮小している中、国民負担の抑制だけでなく、医薬品の供給不安定改善が実現する議論が求められる。
当会は、政府が医療・社会保障費自然増の抑制策を抜本的に転換すべきであること、新薬の高薬価体制を是正する必要があることを前提として強調した上で、医薬品の供給不安定の改善等を実現するため、中間年改定等について下記のとおり要請する。

一、中間年改定は、新薬の薬価維持を望む製薬企業が仕切価を下げない状況下では、後発品薬価を集中的に低下させるため廃止すること。継続するとしても、①薬価が低い品目の薬価が集中的に下がる乖離率に基づく選定をやめ、乖離金額の大きな高薬価の先発品を中心に改定する②後発品は対象外とする―等、医療上の必要性の高い医薬品の薬価が適正に保たれるよう改善すること。
一、2025 年度薬価改定を実施する場合、不採算品目の薬価を引き上げること。
一、全産業平均と比べ不十分な医療従事者の賃上げを後押しし諸物価高騰により圧迫される医療機関経営を支えるために、2025 年度薬価改定を実施する場合、高薬価の新薬を中心に薬価改定した上で、薬価改定財源を使い診療報酬期中改定を実施し基本診療料を引き上げること。

以上