内閣総理大臣 石破 茂 様
官房長官 林 芳正 様
財務大臣 加藤勝信 様
厚生労働大臣 福岡資麿 様
全国保険医団体連合会
社保審査対策部・医科部長 武田浩一
医薬品安定供給実現のため薬価中間年改定の廃止等を求める要請書
林芳正官房長官、加藤勝信財務相、福岡資麿厚生労働相が2025年度薬価中間年改定の大枠について12月20日に合意した。
国庫負担削減目的の強行 実施の建前失われつつある
中間年改定の導入を決めた2016年の4大臣合意では、「価格乖離の大きな品目について薬価改定を行う」とされた。しかし、今回の大臣合意では「平均乖離率が縮小するなど…当時から状況が大きく変化している」として、2021年、2023年改定の慣例に固執することなく対応する方針を示し、新薬創出加算対象新薬とそれ以外の新薬、長期収載品、後発品などのカテゴリー毎に薬価改定の基準が示されている。
現状の乖離率が縮小しているのであれば、適時の実勢価格反映による国民負担の軽減の効果も縮小しており、中間年改定を実施する建前が失われつつあるはずだ。そもそも、過去2回の中間年改定は、平均乖離率にさえ達しない水準で実施されており、2016年の4大臣合意は一度として履行されていないと言わざるを得ない。中間年改定は、実態としては政府の医療費抑制・国庫負担削減の調整弁とされており、今回の大臣合意も、医療界や一部政党から慎重な対応を求める意見が表明される中、約600億円といわれる国庫負担削減を目的に強行しようとするものだ。
安定供給体制回復を阻害
後発品や長期収載品を中心とした薬価引き下げによる医療費抑制策は広範な医薬品の安定供給の土台を切り崩してきた。現在、厚労省、製薬業界が中心となり安定供給体制の回復に向けた取り組みを進めているが、後発品や長期収載品を中心とした中間年改定の継続はこの取り組みを阻害しかねず、将来における安定供給の不安要因にもなる。
当会は医薬品の安定供給を実現するため、中間年改定等について下記のとおり要請する。
記
一、中間年改定は後発品や長期収載品といった日常診療に普及した医薬品の薬価を集中的に低下させ供給を不安定化させるため廃止すること。
一、医療費抑制策を抜本的に転換し、医療現場と必要性の高い医薬品製造現場が求める財源を優先して確保すること。また、ブラックボックスとなっている高薬価の新薬の薬価算定過程の透明化・適正化を併せて推進すること。
一、2025年度薬価改定を実施する場合、高薬価の新薬を中心に薬価改定した上で、医療従事者の賃上げを後押しし諸物価高騰により圧迫される医療機関経営を支えるために、診療報酬の期中改定を実施し基本診療料を引き上げること。
以上