「電力料金等の高騰に関する医療機関緊急調査」第1次集約分の集計結果

概要

 当会が全国の保険医協会・保険医会に呼び掛けて実施した「電力料金等の高騰に関する医療機関緊急調査」には、3月30日の第1次集約締め切り分として25協会から報告が寄せられた。

 第1次集約で報告のあった25協会・医会からの送付数は3万8840件で、各医療機関からの回答は各協会・医会にFAXで寄せられたほか、オンライン回答(Googleフォームによる)と合わせると、第1次集約分の回答数は4267件(回収率:11.0%)だった。

電気料金の高騰が直撃 72%の医療機関で「値上がり幅1割以上」

 結果からは、95.5%の医療機関が、電力料金が上がったと回答した。そのうち72.1%の医療機関で、昨年同時期と比べた値上がり幅は1割以上となっていた。1割以上3割未満の値上がりと回答した医療機関が最多の38.0%で、電力料金の高騰の影響は医療機関にも及んでいることが分かった。

 ガス・灯油についても電気料金ほどではないものの、「上がった」と回答した医療機関が多い。1割以上の値上がりと回答したのが、ガスでは51.9%、灯油では43.9%になる。

 食材料費の値上がりについて、病院および有床診療所からの回答では、78.2%が「上がった」と回答し、給食等の提供に影響が及んでいると考えらえる。値上がりの程度が1割未満と回答したのが33.7%、1割以上と回答したのが51.3%だった。

「支援金の継続・拡充」、「診療報酬による抜本的対応」望む声多数

 水光熱費や食材料の高騰が直撃している医療機関からは、この間、地方創生臨時交付金等を用いた自治体による補助金や助成金、支援金の継続と拡充の要望が多く寄せられた。物価や人件費の高騰・値上がりに対して、診療報酬の引き上げによる抜本的な対応を求める意見が多く寄せられた。

 地方創生臨時交付金を活用した医療機関に対する補助は、44都道府県で実施されているが、3県で未実施である。実施されている自治体でも無床診療所が除外されているところが2都県ある。また、たとえば無床診療所への補助額は2万5000円~30万円まで大きな格差があるなど、全国的に見るとアンバランスが生じている。

 今般明らかになった電力料金等の諸物価高騰による医療機関への影響を踏まえれば、各自治体において地方創生臨時交付金を活用した補助の実施・継続、補助対象と額の拡大が必要であるとともに、政府においては診療報酬での手当を含めた一律で抜本的な対応が、緊急に求められる。