【高額療養費】乳癌学会声明の懸念を裏付けるアンケート結果に

高額療養費限度額引き上げの影響調査を再集計

保団連が子どもを持つがん患者さんを対象に行った高額療養費の限度額引き上げに伴う家計・子育てへの影響調査について、乳がんを抽出して再集計し、3月6日、記者会見を開いて報告しました。

乳がんは他のがんと比べても子育て世代・現役世代の罹患率が高いとして、日本乳癌学会は2月26日、高額療養費制度の負担上限引き上げの凍結を求める緊急声明を発表しました。保団連調査の再集計では、乳癌治療の特徴や患者への影響、治療継続や家族への影響など、声明で示された懸念を裏付ける結果になりました。

 

自分の治療より子ども優先の傾向さらに強く

アンケートでは、回答者の4割が乳がんでした。全体に比べて「通院治療中」の割合が多く、声明にあるように、「手術のみならず、多岐にわたる集学的治療や、治療の長期継続に伴う合併症への対応など多面的な医療を受ける」という乳がん治療の特徴が表れています。

また、限度額が引上げになれば「治療中断」を考えると答えた割合が多い一方、子どもの「進路変更」を考える割合が少なく、自分の治療費よりも子どもの教育費を優先しようとする傾向が強いことが分かりました。

声明では、「医療費の負担が原因で経済的困窮に陥ることは、患者本人だけではく家族を含む生活全般に深刻な影響を及ぼすことが懸念される」と指摘しています。

 

「治療を諦める覚悟です」

会見には乳がんを含め、がんで闘病中の患者さんら5人が参加し、実情を訴えました。

11歳と18歳の子どもがいる大阪府の松山安紀さん(51)は、ステージ4の乳がんで闘病中です。「余命半年と宣告されてからも、高額療養費制度のおかげで5年間生きながらえることができました。日々の生活は切り詰めながら何とか保っていますが、もし制度改悪され、生きることで子どもたちに負担がかかるなら、治療を諦める覚悟です」とメッセージを寄せました。

 

物価上昇を考慮するなら負担を減らすべき

保団連の橋本政宏副会長は「本来であれば、物価上昇を考慮して患者の負担を減らすべき。限度額引き上げの白紙撤回を強く求める」と訴えました。