厚労省は1月26日の中医協に診療報酬改定の項目概要を示した。新型コロナウイルスはじめ新興感染症対応を強化し、感染防止対策への評価を新設するが、発熱外来対応など算定する医療機関は限られる。全ての医療機関を評価すべきだ。
発熱外来体制確保を評価
コロナ感染拡大を踏まえ、地域で診療所や中小病院が大病院と連携し、院内の感染防止対策を強化した場合を新たに評価する。医科診療所について外来感染対策向上加算が新設される。初診・再診料など19の点数の加算となる。
ただし、新興感染症の発生時などに、都道府県等の要請を受けて発熱外来等(ホームページで公表)を実施することが求められる。院内に感染防止対策部門を設置し、医師・看護師等の専任の感染対策責任者は感染防止に係る日常業務を実施しつつ、職員研修を実施する。合わせて、責任者は地域の病院や医師会が主宰するカンファレンスや感染症発生想定時の訓練への参加が求められる。入院医療機関を対象に新設された感染対策向上加算3も発熱外来の体制確保などを求めている。
歯周処置廃止と引き換え
歯科では、初・再診料算定に際して院内感染防止対策(新興感染症対策等含め)に係る研修受講、職員研修実施などを要件化する。汎用点数である歯周基本治療処置(10点)等を廃止して、初・再診料を引き上げる。具体的な点数設定は今後示される。
低い改定率のしわ寄せ
今回の診療報酬改定の基本方針にコロナ感染対応を重点課題として位置付けているにも関らず、昨年9月末の医科・歯科の感染防止対策に係る外来特例廃止、昨年末のPCR検査等の評価引き下げに続き、3月末で乳幼児の感染防止対策に係る特例(医科)も廃止される。
今回の改定では目的の限定されていない財源は改定率で0.23%引き上げという低い水準に留まった。これが感染対策評価での対象医療機関の限定や出来高点数の包括化という後退につながった。
医療機関は全ての患者に対して感染疑いを前提に対応している。オミクロン株などによる感染拡大も深刻化している。感染対策のための外来特例の復活など、全ての医療機関を評価することが不可欠だ。