職員休業 医科・歯科とも4割超 検査中止・リハビリ閉鎖・新患停止 患者の健康悪化を懸念

全国保険医新聞2022年3月15日号より

 

 オミクロン株による感染拡大と地域医療への影響を明らかにするため兵庫協会は、2月初旬に会員実態調査を実施。2月16日に調査結果を記者発表し、コロナ対応の中、診療に支障が出ている実態の改善をマスコミに訴えた。

 

陽性・濃厚接触で外来回せない

調査への回答は735件、回答率は会員医療機関(診療所)の16.5%。今年に入りコロナ関連で休業した従業員がいた医療機関は医科で42.6%、歯科で41.0%に上った。そのうち「診療への影響があった」と回答した医療機関は、医科で60.7%、歯科で76.3%となった(図1)。「外来業務が回せない」「検査技師が陽性となり、エコー検査を中止した」「併設の通所リハビリ施設を3日間閉鎖」「新規患者受け入れをストップした」など切実な声が寄せられた。通常の医療提供に支障が出ており、患者の健康悪化につながりかねない。

検査キット深刻な在庫不足に

検査キット不足も深刻で、抗原定性検査キットの在庫状況では「10~19回分」との回答が最も多く28.2%だった(図2)。この在庫数は、アンケートに寄せられた患者数から2~3日分であると推測される。
「全くない」との回答も10.9%に及んだ。「抗原キットがなくなり発熱外来を休止した」との声も寄せられた。
自院で濃厚接触者が出た場合に備えた検査キットについても、歯科医療機関の60.4%が「確保できていない」としており、「濃厚接触者となったスタッフの復帰のめどが立たない」など診療体制に影響が出ていることも明らかになった。

6割がコロナ診療に従事

一方、多くの医療機関が新型コロナ疑い患者を積極的に診ている実態も明らかになった。全ての医科医療機関のうち、新型コロナ疑い患者を診療している医療機関は62.6%に上り、内科医療機関の46.6%が経過観察や治療を、18.3%の医療機関が往診を行っていると回答。そうした医療機関からは「毎朝、電話やメールで病状を把握」「必要に応じてHOT(在宅酸素療法)を導入」「重症化リスクの高い患者へラゲブリオを投与」「個室隔離で血液透析を実施」などの回答があり、地域の診療所が保健所や専門病院機能の一部を担っていると言える。

図1 休業で診療への影響はありましたか
(休業した職員のいた医療機関)

図2 抗原定性検査キットの在庫状況