中止法案、参院選の公約化
6月15日、通常国会が閉会した。全国保険医団体連合会(保団連)は会期中、10月からの実施が予定される75歳以上の窓口負担2割化の中止を目指し、請願署名の取り組み、国会議員との懇談、政党や他団体などへの要請を続けてきた。これらは、共産党による中止法案の提出や、立民、共産、社民各党が参院選の公約に2割化中止を掲げる等の成果に結びついている。
長期にわたるコロナ禍では、度重なる医療逼迫により日本の医療・社会保障の脆弱さが明らかとなり、今国会ではその対策が強く求められた。
しかし22年度の政府予算は、10月からの75歳以上の医療費窓口負担2割化を予定し、社会保障費の自然増分を2200億円も削減。診療報酬は5回連続のマイナス改定となり、病床削減も引き続き進めることとしている。
コロナ禍の経験を生かさず、医療と社会保障をいっそう縮小しようとするものだ。
署名の紹介議員 広がる
保団連は、75歳以上の医療費窓口負担2割化は、高齢者の生活を追い詰めるだけでなく、コロナ禍で広がった受診抑制をさらに進め、いのち・健康を脅かすものだとして、中止を求めてきた。
他団体と共に2割化中止の請願署名に取り組み、集約数は全国の累計で約78万筆に上る。紹介議員は立憲民主党40人、日本共産党23人、社会民主党1人、れいわ新選組3人、沖縄社会大衆党1人の計68人となった。
保団連の住江憲勇会長は、立民会派の厚生労働部会での意見陳述や連合との懇談、与野党の厚生労働関係の国会議員への要請を重ね、中止法案の提出や補正予算措置による凍結など、国会で2割化中止に向けた動きを作ることを強く要請してきた。
年金切り下げの中の負担増に批判
こうした取り組みの結果、6月7日、共産党は参議院に2割化の中止法案を提出。物価高騰や年金引き下げの中での負担増は、受診抑制を引き起こし、高齢者の生存権を脅かすなどとしている。同様の意見は、物価高騰対策のために編成された第二次補正予算の国会審議で、立民の議員からも出された。
待合室から世論を
参院選の公約では、立民、共産、社民各党が、2割化中止を盛り込んだ。れいわは保団連の政党アンケートで「2割化中止」に賛成とした。
この間の協会・医会、保団連等による運動が、国会を動かし、75歳以上の負担増を参院選の争点に押し上げつつある。保団連は参院選に向けて、待合室から「2割化中止」、「医療・社会保障の充実を」の声をさらに広げようと呼びかけている。