賃上げ・物価対策も争点に
2年連続で年金が削減され、賃金が上がらない中、物価高騰が家計を直撃している。7月参院選の争点に急浮上した物価高騰や賃上げについて岸田政権の対応と各党政策を解説する。
アベノミクス堅持の岸田政権
原油価格の高騰、ウクライナ危機に加え、異常な円安が物価高騰を招き家計を直撃している。円安の原因は、米中央銀行がインフレ抑制に向けて利上げ・金融引き締め政策を取る中、日銀が金融緩和政策を継続し、日米金利差が拡大したこといよる。
日銀の黒田東彦総裁は「家計は値上げを許容」と発言。世論の反発を招き発言は撤回したものの、金融緩和政策を粘り強く継続するとした。
岸田首相は、骨太の方針2022でアベノミクスを「堅持」するとし、物価高騰について、海外と比較し、「相対的に低い水準」と強調した。
今国会での政府の物価高騰対策は補正予算でガソリン価格の補助積み増しに留まる。
野党4党(立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組)は時限的な消費税減税法案を今国会に共同提出したが、岸田首相は消費税減税を否定した。
消費税減税で与野党に違い
参院選の各党政策では、物価高騰対策として即効性が高い消費税減税の可否で与野党の違いが鮮明となった。賃上げでは、最低賃金引き上げの時期や金額でスタンスの違いが出ている。
自由民主党は、原油高・物価高騰に総合対策を策定し、迅速かつきめ細かく対応し、賃上げ税制を促進、最低賃金が全国加重平均で1000円以上となることを目指すとした。
公明党は賃上げした企業に対する税制支援や企業への資金繰り支援を進めるほか、最低賃金を20年代前半に全国加重平均で1000円超に引き上げるとした。
立民は、消費税を時限的に5%に減税するとともに、原油や小麦の価格高騰対策を前面に掲げた。時給1500円を目標に段階的に最低賃金を引き上げるとした。
国民民主党は、ガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」発動、国民1人あたり一律10万円給付、時限的な消費税5%減税、全国どこでも最低賃金1150円以上への引き上げを掲げた。
日本維新の会は、物価の高騰などを受けた短期の景気対策として、消費税やガソリン税の減税、光熱費負担の軽減などを最優先で実施するとした。
共産党は、物価高騰の原因である金融政策の転換を求めた。年金削減の中止、消費税減税や中小企業支援とセットで最低賃金の1500円への引き上げなどを掲げた。
れいわは消費税廃止や季節ごとに国民1人当たり10万円を給付、最低賃金を全国一律で1500円に引き上げる政策を掲げた。
社民は物価高に対応するため消費税率を3年間ゼロとし、最低賃金1500円への引き上げを掲げた。