主張「原発・石炭火発を廃炉・停止し 汚染水の海洋放出は中止を」

 今年2月のロシアのウクライナへの軍事侵攻は、多くの人命を奪い、原発への軍事攻撃、核兵器使用の脅しなどの核戦争の危険さえ増大させている。しかし、この軍事侵攻とロシアによるLNG輸出規制などから、今国内では、エネルギー需給対策などを理由に、政府・財界などから原発再稼働や新増設推進が声高に主張され始めている。それと並行して政府は、石炭火発の再稼働も進めている。
問題となっている東電・福島第一原発の原発汚染水(ALPS処理汚染水)について原子力規制委員会は、意見募集で集約された約1200の意見には正面から応えず、根拠も示さないまま安全性が確認されたと言い、7月22日、東電の原発汚染水の海洋放出計画案を認可した。意見募集制度を形骸化させ、政府方針の実行ありきで突き進む原子力規制委員会の姿勢は、東電・福島第一原発事故の反省と教訓を捨て去ったものとのそしりを免れない。
政府が、東電・福島第一原発事故を反省し、教訓を生かすというなら、原発汚染水の海洋放出などできるはずはなく、福島県漁連を初め漁業関係者に現状の説明と謝罪し、政府方針を撤回することこそ必要である。
東電・福島第一原発事故汚染水対策で必要なのは、▽汚染水をこれ以上増やさない対策を早急に講じること▽地上での貯留保存を継続すること▽放射性物資を除去するあらゆる対策を講じること―である。東電の計画には、毎日発生している汚染水や放射性物質の総放出量が明示されていない。「原子力三原則」(「公開」、「自主」、「民主」の三原則)が遵守できていない以上、海洋放出どころか原子力政策を語る資格はない。危険性の除去も、使用済み核燃料の処理もできない、避難計画の立案・実行の見通しすら立たない原発の再稼働は許されず、新増設などもってのほかである。
世界的な地球温暖化問題の解決に向けた努力は、人類生存と地球の未来のために早急に取り組むべき最優先課題である。そのためにも石炭火発の即時廃炉・停止、再生可能エネルギーヘの転換は急務である。保団連は、原発汚染水の海洋放出・パイプ敷設工事の中止と、原発・石炭火発の即時廃炉・停止を要求し、その実現のために運動を推進する。ご理解とご協力をお願いする。