『新・味わいと文化の旅』

 今回は奈良を巡る旅であった。保団連らしく医学にゆかりのある場所も多く組まれていて、奈良の奥深さを実感できて大満足であった。
春日大社では神職の方による解説つきの特別参拝ができた。1300年前、平城京を守護するため藤原氏により創建され、式年造替を繰り返し、現在も美しい朱の神殿や回廊があることに感動する。薬師寺では法話を拝聴し、学問のための寺であったことを知る。均整のとれた金堂と東塔、西塔を配置する伽藍に白鳳文化の究極の美を感じた。宿泊は憧れの奈良ホテル。関西の迎賓館と呼ばれるにふさわしい風格を備え、赤い絨毯が迎えてくれた。フレンチディナーの後は静かな古都の夜を味わった。
2日目は北山十八間戸からスタート。鎌倉時代創建のハンセン病患者を収容・救済する福祉施設である。普段公開されていない内部まで見学できたことは貴重な体験であった。桜井市へ移動し、大神神社とくすり道を通って狭井神社を詣で、万病に効く神水をいただいた。安倍文殊院でも法話を拝聴、美しい文殊菩薩を拝み、倉梯麻呂、仲麻呂、晴明などを輩出した安倍一族の栄華を想った。
御所市の美しい田園地帯に抱かれた三光丸クスリ資料館は、後醍醐天皇にも喜ばれた和漢健胃薬を作り続けている創業700年の会社の施設である。薬草の香りの中で館長から大和薬の歴史を楽しく学んだひとときであった。折しも胃腸が不調で三光丸を買い求めて服用するとよく効いた。
旅を通して全国から参加された先生方と交流ができ、駅でお別れの時は名残惜しく、再会できることを願った。
(徳島協会・文化部員 工藤美千代)