半年でのシステム整備は無理筋
2023年4月からの保険医療機関へのオンライン資格確認システム導入の原則義務化を巡り、厚労省は8月24日、中医協答申の付帯意見を踏まえ、導入状況の検討を年末に行うと説明した。保団連の調査では、原則義務化には約8割が反対している。医療現場で必要とされていないオンライン資格確認の原則義務化は撤回すべきだ。
オンライン資格確認システム導入の原則義務化は、紙レセプトで請求している医療機関を除く9割超の医科・歯科診療所が対象となる。しかし、これまでにカードリーダーを申し込んだ診療所でも、運用を開始しているのは、医科で18・1%、歯科で18・8%にすぎない。運用を開始していない診療所(紙レセプトは除く)は約12万軒に上る。
政府は医療の質の向上や被保険者の資格確認などオンライン資格確認システム導入のメリットを強調している。しかし、保団連が実施した緊急調査(回答数:480)では、78・1%が原則義務化に反対しており、64・9%が「必要性を感じていない」と回答している。
現行の被保険者証による資格確認で特段の支障は生じておらず、オンライン資格確認システムは医療現場に義務付けまでするようなものではない。しかも、新型コロナ対応で多忙を極める医療現場に、わずか半年足らずで9割超の医療機関へのシステム整備を求めるのは無理筋であり、地域医療に重大な支障をもたらしかねない。
年末に導入状況踏まえ検討―厚労省
オンライン資格確認推進協議会と8月24日に実施した合同説明会で厚労省は、「年末に導入状況の点検を行い、地域医療に支障を生じる等、やむを得ない場合の必要な対応について、その期限も含め、検討を行う」との中医協付帯意見を踏まえて、年末に検討を行うと説明した。
保団連は原則義務化撤回を求める署名と実態調査に取り組むとともに、厚労省等への要請を強めていく。