オンライン 資格確認 6割が義務化の必要性感じず

保団連緊急アンケート

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保団連は、オンライン資格確認の原則義務化に関する緊急アンケートを実施。約8割が原則義務化に「反対」し、6割以上が「必要性を感じていない」と回答した。運用を開始した医療機関でも約3割で「トラブルが発生」している。中医協は、年末に経過措置などの範囲を検討するとしているが、運用を開始していない診療所(紙レセプトは除く)が約12万軒にのぼる中、23年4月までのシステム導入は困難だ。保団連はアンケート結果を基に、厚労省や中医協委員等に原則義務化撤回を強く求めていく。

調査期間は、2022年8月12日から31日。保団連メールマガジンの登録会員4196人に送付し489件(医科診療所241件、歯科診療所235件、その他13件、回答率11・7%)から回答を得た。回答者の97・3%が医科・歯科診療所となり、年齢層は40代が11・7%、50代が30・0%、60代が42・4%、70代以上が14・2%となった。

システムコスト負担85%

オンライン資格確認を原則義務化する政府方針について、78・6%が「反対」、保険証の原則廃止の政府方針について、75・5%が「反対」した。
オンライン資格確認のシステムについて、65・5%が「必要性を感じていない」と回答しており、「マイナンバーカードの紛失・漏えいが心配」(71・0%)、「セキュリティ面の不安」(67・0%)などセキュリティ、情報漏えいへの懸念が強い。また、「設備投資やランニングコスト上の負担」(85・4%)、「窓口の事務負担増」(70・4%)など費用負担への不満も強い(図1)。
レセプト請求方法は、「オンライン請求」(46・9%)と「電子媒体請求」(45・9%)がそれぞれ半々となった。医科診療所では、オンライン請求が68・5%、電子媒体請求が29・0%、歯科診療所ではオンライン請求が23・3%、電子媒体請求が64・7%となった。

運用開始等の3割でトラブル発生

システムの導入状況について、「運用を開始している」が17・9%に留まる一方で、「導入を検討・予定しない」が45・4%となった(図2)。
導入は完了しているが未運用の医療機関や既に運用を開始した医療機関の33・0%でトラブルが発生している(図3)。具体的なトラブルは、「データ上のトラブル(基金等での登録データの不備・更新の遅れなど)」が71・0%、「機器関連のトラブル」が41・9%などが大半を占めた(図4)。

診療所12万軒が未実施

8月10日に中医協で答申された原則義務化は、紙レセプト請求の医療機関を除き、9割超の医科・歯科診療所が対象となる。8月14日時点で運用開始した医科診療所は18・1%、歯科診療所は18・8%に過ぎず、システムの運用を開始していない診療所(紙レセプトは除く)は約12万軒に上る。
新型コロナ対応で多忙を極める医療現場にわずか半年足らずで9割超の医療機関にシステム整備を求めるのは無理筋である。

保険証で特段の支障生じていない

緊急調査に回答した医療機関の92・8%が「オンライン請求」もしくは「電子媒体」で保険請求しており、電子技術の活用そのものに消極的なわけではない。
現行の被保険者証による資格確認で特段の支障は生じていない上、義務化までして医療現場に導入すべきシステムなのか、多く医師・歯科医師が疑問を感じている。

データ機器のトラブルが多発

オンライン資格確認のシステム導入について、セキュリティ・情報漏えいへの懸念も強く、費用負担増等への不満も強いことが示された。
深刻なのが、既に運用を開始している医療機関等の約3割でトラブルを抱えており、その7割がデータ上のトラブルと回答したことである。この状況で9割を超える医療機関に残り半年足らずで、システムを強引に導入すれば混乱は必至である。

システム導入を押し付けるな

厚労省は8月24日の三師会との合同説明会で8月10日の中医協付帯意見に沿って、年末までの導入状況を踏まえ再検討するとした。一方で、システム導入の「メリット」や「医療の質向上に資する」と一方的に主張し、システム導入を押し付けている。医療現場の声に耳を傾けて、原則義務化の方針は撤回すべきである。