1割+3000円 10月診療分から
10月から窓口負担が2割となる75歳以上の患者の負担を軽減する「配慮措置」について解説する。
制度概要
10月から、一定以上の所得のある75歳以上の患者について、1割から2割への自己負担割合の引き上げが予定されている。急激な自己負担額の増加をおさえるためとして、入院外受診について、1割から2割へ引き上がった際の毎月の負担増加額を3000円まで(1割負担+3000円)に収める配慮措置が、3年間実施される(2025年9月30日まで)。
この措置は高額療養費の仕組みを利用して行われる。入院外受診で自己負担の増加額が3000円を超えた分について、同一の医療機関受診では原則現物給付し、複数の医療機関等で支払った分は償還払いされる。償還払いには、高額療養費の口座が利用される。口座が登録されていない患者は、各都道府県の後期高齢者医療広域連合等を通じて届く申請書により手続きが必要となる。
窓口での自己負担徴収
同一の医療機関受診での自己負担徴収の仕方は次の通り(図参照)。
配慮措置は、2割への引き上げによる自己負担「増加額」を毎月3000円に収める。したがって、診療報酬点数が3000点まで(自己負担2割で6000円まで)は、増加額が3000円に収まっており、通常の2割負担で徴収する。
点数が3001点~1万5000点の範囲で配慮措置が適用される(1万5001点からは通常の高額療養費の入院外限度額1万8000円に到達する)。
配慮措置適用後の自己負担の徴収は、次の手順で行う。
①診療日ごとに、その月の入院外の診療報酬点数の合計を計算する。
②配慮措置によるその月の自己負担上限額である1割負担+3000円を計算する。(計算式「6000円+(医療費―3万円)×0・1(小数点以下四捨五入)」)。
③②から前回の診療までの自己負担額の合計を引いた額を、その日に徴収する。
配慮措置の適用後は、自己負担の徴収は1円単位となる点に注意が必要だ。配慮措置の適用前(2割負担部分)は10円単位で計算し、配慮措置適用後も遡る必要はない。
同一医療機関でも現物給付されないもの
同一医療機関でも、医科・歯科は別計算となる。
また、公費負担医療及び特定疾病療養(マル長)については、窓口での配慮措置(現物給付)の対象にはならない。各制度の自己負担上限額まで徴収する(ただし、通常の高額療養費の入院外上限1万8000円の計算には、公費負担医療等の自己負担額も含める)。同じ月に公費負担医療等と、保険単独医療の両方を受けた場合、保険単独医療だけが窓口での配慮措置の対象になる。
医科・歯科の受診も、公費負担医療等も、患者が支払った1カ月の自己負担額を保険者が合算し、1割負担+3000円を超えた分は4カ月後をめどに償還される。
複数医療機関受診等の取り扱い
他医療機関および薬局等で支払った自己負担については、窓口での配慮措置の対象として合算することはできない(難病や自立支援医療等のように自己負担上限管理票等は存在しない)。
この場合も、患者が支払った1カ月の自己負担額は保険者が合算し、1割負担+3000円を超えた分は4カ月後を目途に償還される。