即時の指定取り消しは否定
厚労省に要請
全国保険医団体連合会(保団連)の住江憲勇会長らは9月22日、厚労省に来年4月からのオンライン資格確認のシステム導入義務化の撤回を要請した。全ての対象医療機関が期限までにシステム導入することは現実的に困難である中、厚労省の担当者は療養担当規則違反になった場合にも「即時の指定取り消しにはならない」と明言した。経過措置も中医協で検討される。現場の切実な声を伝えていくことが重要だ。
要請の冒頭に、各協会のアンケート結果を紹介した。オンライン資格確認の運用を開始した診療所が2割しかないこと、小規模・高齢、閉院予定、回線整備費用が高額など対応できないさまざまな事情がある現状、現在の診療スタイルで十分、レセプト枚数が少ないなど「導入する必要性を感じていない」医療機関が多いことなどを指摘。システム導入義務化撤回を求める要請書と会員署名5089筆を提出した。
療担規則の修正も
8月10日の中医協答申の附帯意見では、「(導入義務化によって)地域医療に支障を生じる等」の場合に、必要な対応を検討するとしている。具体的な内容について厚労省は、「医療機関が閉院、廃業することは避けたい」との考えを示した上で、年末までの導入状況を点検し、「無期限も含む経過措置」が中医協を経て検討されるとの認識を示した。療養担当規則修正の可能性は、「今後の中医協の議論次第であり得る」と述べた。
来年4月までにすべての対象医療機関がシステム導入することは現実的に困難だ。導入が間に合わないなど、療担規則違反の状態となった場合に指定取り消しが懸念される点について厚労省は、「即時の指定取り消しとはならない」と明言した。
広く実態調査が 不可欠
療担規則に義務化が定められたことは、地域医療、保険医療機関の継続に影響する重要事項である。附帯意見で示す「必要な対応についての検討」にあたっては、、実態調査が不可欠であり、パブリックコメントの募集や、関係団体等へのヒアリング、公聴会の開催などは必須だ。厚労省は、地域医療の影響について「重要事項」とし、十分な実態調査を行う予定としたが、調査範囲は、「建物の構造上の問題」など一部に限定した内容にとどまった。医療機関の負担の現状を明らかにするため、広く意見聴取、実態調査を行うことが重要だ。
保団連は、義務化撤回に向け、医療現場の実態を伝え、取り組みを強めていく。