窓口負担2割化 強行許されない

反対の声届ける

 10月1日、75歳以上の医療費窓口負担2割化が強行された。保団連はこの間、「今、2割化すべきではない」の声を広げ、関係団体とともに、累計で83万4878筆の署名を集めた。9月21日には、署名提出集会を開催した。集会の模様を紹介する。

 長引くコロナ禍に物価高騰が追い打ちをかけ、国民生活は困窮している。負担増で経済的理由による高齢者の受診抑制の深刻化が強く懸念される。
9月21日、保団連が関係団体とともに開催した署名提出集会では、2万4878筆の署名を提出し、累計で83万4878筆となった。

◆搾取・収奪は許せない

住江憲勇会長は、「75歳以上の人の収入の中央値は130万円と低水準である。今回2割化の対象は年収200万円以上だが、今後対象者の拡大が狙われることは目に見えている」と指摘した。また、1割負担の現在でも、高齢者の医療費は現役世代の2~5倍にもなっており、物価は前年同月比プラス2%水準で連続して上がっている中、「2割化は許されない」と訴えた。

◆全国で2割化に抗議の声を

日本高齢期運動連絡会事務局長の畑中久明氏は、同会が行った生活実態調査の結果を見ても、「社会保障と税金の負担が重く、高齢者の生活はぎりぎりの状態だ。将来に対する不安を抱えており、2割化になれば受診抑制が起こることは明らかだ」と指摘した。
畑中氏は行動提起として、①全国各地で2割化強行に対する抗議行動を行うこと②医療費の負担増に伴う混乱、困難などの声を集めて政府にぶつけることと同時に、「配慮措置」では到底負担軽減にはならないため、物価高の間はせめて延期しろという声を上げること③社会保障制度の解体を許さず、人権としての社会保障を確立することの3点を呼び掛けた。

◆各団体から 怒りの声

全日本年金者組合東京都板橋支部書記局長の大塚信氏は、「自分にも最近『2割』の医療証が届いた。その後、癌と宣告され、家族と『2割になる前に病院に行こう』と話した」ことを紹介。これからの生活が本当に心配だとし、「何としても2割化を止めたい」と訴えた。
全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)事務局次長の山本淑子氏は、現在75歳以上で1割負担の人の3分の1が「医療費を負担に感じている」と民医連が行ったアンケートを紹介。
「2割化によって、生きることを諦める人が出てくるのではという危惧がある」と指摘し、「年金引き下げ、物価高騰の中での2割化は許せない。最後まで2割化中止を求めると同時に、10月以降も国民の受療権が奪われないように相談活動などを行っていく」と決意を述べた。
日本高齢期運動連絡会事務局次長の菅谷正見氏は、今回の約83万筆の署名の一筆一筆に思いが込められているとした上で、「2割化は大きな流れで見れば、みんなで長い年月をかけて勝ち取ってきた成果を壊す新自由主義政策の一環である。また、現役世代の負担軽減を口実に高齢者の負担増を進める一方で、若い世代には、低賃金・不安定雇用・給付ではない奨学金などを押し付けている」と指摘し、「新自由主義路線を押し返す大きなたたかいにつなげ、その中で、2割化も押し返す運動を作っていきたい」と述べた。
神奈川県社会保障推進協議会事務局長の根本隆氏は、「神奈川での2割化反対運動では、神奈川協会の医師・歯科医師の先生方が、毎回の宣伝に参加し、白衣で2割化中止を訴えた。市民にも影響の大きさが伝わり、多くの署名が集まった」と報告、「今までは反撃の運動だったが、10月以降は、後期高齢者医療制度を今後どうしていくかを考えることが課題になってくる」と訴えた。