閉院で補助金返納が必要

 オンライン資格確認のシステム導入後すぐに閉院・廃院した場合、補助金返還が求められるとの相談が協会・保団連寄せられている。相談に対応している協会事務局に寄稿してもらった。

高知県西部で開業する60代の歯科医師から質問が寄せられました。
「病気がちで後継者もおらず1年後の閉院を考えていたところ、突然のオンライン資格確認義務化に驚いている。『オンライン資格確認等関係補助金』の返納義務は生じるのか?」。

カードリーダーで8万円の返納必要

支払基金の「医療機関等向けポータルサイト」を検索してみると、すぐに「財産処分に関するQ&A」に書かれた2年経過後の閉院事例の返納額計算式が見つかりました。
導入1年後に閉院してしまうと、カードリーダーは無償提供と宣伝されているのに、取得価額9万9000円とみなされ、減価償却5年で7万9200円の返納が求められます。
また、昨年7月30日付の厚労省が発出した「オンライン資格確認等関係補助金等により取得した補助対象等財産に係る財産処分の取扱いについて」から、補助金で購入した資格端末の機器等は「パーソナルコンピューター」に該当し「4年」、ネットワーク関連機器、その他レセコンとの接続ケーブルなどは「電話設備その他の通信機器―その他もの」に該当し「10年」で減価償却し、残余年数分の補助金額は返納が求められることを知りました。
質問者のように1年後に閉院すれば、補助金額の大部分は返納になります。突然の閉院リスクを避けがたい開業医の実状を無視した「補助金」誘導による義務化の強行を許してはなりません。
(高知保険医協会事務局  河野靖彦)