狙われる介護の負担増

現場から懸念の声多数

 次期の介護保険制度改定に向け、9月26日に厚労省の社会保障審議会・介護保険部会が開催され、介護利用料の2・3割負担の対象拡大、要介護1・2の保険給付外し、ケアプランの有料化などの改悪案が提示された。今以上の利用者負担増を阻止するための取り組みが求められる。

 厚労省の案は、前回改定時の取りまとめや今年5月の財政制度等審議会の建議も引用しており、利用料の自己負担では原則「2割」、要介護1・2の給付外しでは訪問・通所介護の除外も示している。
部会で、健保連など支払い側の委員は、制度を公平性の観点で見直し、医療保険との矛盾がないようにすべきとして、利用料の原則「2割」への負担増を強く訴えた。

これ以上の負担耐えられない

一方で、介護現場などからは強い懸念の声が多数出された。
「認知症の人と家族の会」からの委員である花俣ふみ代氏は、「なぜ必要な人に必要なサービスを行う議論にならないのか。負担増が実施されれば、サービスを減らすしかない。75歳以上の医療費窓口負担2割化に加え、介護利用料の負担増まで耐えられるのか。高齢者虐待にもつながる可能性がある」と強い懸念を示した。

数日で4万の反対署名

これまでも介護保険の負担増は提案されてきたが、介護現場や利用者の反対の声で何度も押し返してきた。
ツイッターでは、負担増の提案への反発の声が高まり、「#要介護1と2の保険外し」がトレンド入りした。また、「認知症の人と家族の会」が実施している負担増に反対するネット署名には数日で4万人近く(10月4日時点)が賛同するなど、大きな反響が生まれている。
年末に向けて進む介護保険の負担増の議論を阻止するため、介護現場の声と取り組みが重要だ。保団連は、改悪案や現場の実態を知らせながら、他団体とともに取り組みを推進する。